塾長コラム
早いもので9月の半ばとなりました。あれだけ長いと思っていたサマープログラムの日程も始まってしまえば、1日1日と過ぎ去っていき、いつのまにか最終タームを迎えるというような感じでした。
今年のサマープログラムは、メインタームが始まる前に、プレタームとして8日間の準備期間的な日程を設け、受験生にとって「知識のインプット」を中心とする期間としました。非受験学年の生徒にとっては、土日にかぶらない日程コースの新設もあり、プレタームから授業を行う生徒も居りました。
勉強というのは、この知識をどんどん吸収するインプットとその知識を使って問題演習を行うアウトプットのバランスを考えながら行っていくことが大切です。
これはそれぞれの生徒のその時点での習熟度に拠る部分も大きいのですが、インプットだけではだめですし、アウトプットだけでもだめな部分があります。ただ、どちらを重視するのかと言うと「アウトプット」です。
よく言われることですが、「わかっているけど、自分では問題が解けない」というよくありがちなパターンを考えてみますと、自分では問題が解けないのですから、実は「わかっている」わけではないのです。「わかったつもりになっている」と言えばわかりやすいでしょうか。
学校の先生しかり、塾の先生しかり「知識のインプット(教える)」ことについては、極端に授業が下手過ぎなければ、授業で教えることはほとんどの先生で可能です。
ただ「教える」ことはできても、生徒が「理解する」という状況まで持っていくのは、相当な力量が必要ですし、ただ単に学校の授業や塾の授業だけで完璧に理解するまで持っていくことはできません。
必ず「アウトプット」の時間が必要だからです。アウトプットは、小テスト、定期テストなどはもちろんですが、宿題、自学などでも当然やるべき問題演習です。
ここを疎かにしては、伸びるものも伸びません。
エビングハウスの忘却曲線でも科学的に証明されている通り、人間の脳は新しいことを知り、知識を得ただけでは、必ず忘れていくように作られているからです。
それを忘れないように「定着させる作業」が必ず必要なのです。だからこそ、アウトプットをしっかりと行わなければなりません。
ただ、成績があまり芳しくない生徒は、このアウトプットの量が圧倒的に少ないのです。
もちろん、それ以外にも「インプット」の段階で、理解できていないという根本的な問題も介在していますので、それを区別しないままでは、成績を上げる対処法としては好ましくありません。
生徒が「インプットの段階で問題を持っているのか」「アウトプットの問題を持っているのか」をしっかりと見極め、対処していくことが、我々私塾には求められているのだと思います。
とは言え、学校のように毎日6時間や7時間授業があって、1科目に3単位、4単位と週に授業を行うわけにはいかない私塾ですので、できる限り効率的にインプット、アウトプットを行わなければなりません。
小職が担当しております中3生の教科書英語という講座ですが、授業時間は週1コマ50分で、中3生の学校の英語の授業週4回各50分で進む内容を週1回でこなさなければなりません。週4を週1で同じペースにし、理解度を上げてもらい、テストで結果を出してもらう、なかなかハードの内容です(笑)
ただ、時間がない、ないと言っているだけでは前に進みませんので、インプット授業をスムーズに行い、間違えやすい所を強調し、学校の先生がテストに出すというポイントをしっかり押さえてもらい、アウトプット(問題演習)は、宿題やもう一つの曜日のSHBでフォローしたり、学校の問題演習でカバーしてもらうという工夫をしています。
そうなりますと、学校よりも先にどんどん進んでおかないといけないので、それも結構タフな内容になり、毎週、教科書英語の時間はスピードとの戦いをしております。
少し話は逸れましたが、インプット、アウトプットは双方とも、非常に重要なことです。
既にわかっていることをだらだらと説明されても退屈ですし、時間の無駄になります。
また内容が全然わかっていないのに問題演習だけをやることも意味を成しません。その双方をその時点での習熟度によって、しっかりバランスをとらなければならないのです。
難しい問題は、嫌いな教科、苦手な教科などは、問題を解くのはもちろん授業を聞くのも嫌いというパターに陥ってしまっている場合もあります。しっかりと聞けば理解できる部分は必ずあるはずなのですが、その大前提として「難しい、嫌い」というのが先に立ちますから、結局更にわからなくなるという悪のスパイラルに陥ってしまうのです。
そういった段階では、時には「教え込む」必要もあります。
アドバンスのSHBの授業の基本は「教え込まない指導」としており、自立的に学習できる体制を整えていくことを目標にしておりますが、上記の段階では教え込んで「わかった!理解できた」という生徒の気持ちを引き出さないといけな場合もあります。
なんでもそうですが「わからないこと」には人間、腰がひけがちです。子供も同じでわからないことを自分で解決しようと努力できる生徒がどれだけいるかということを考えますと、やはり、時と場合により、徹底して「教える」ことも必要な段階もあります。
中々究極の課題ではありますが、やはりその時期、バランスを絶えず考え、生徒の特質なども踏まえて、個別対応をしないといけない問題でもあります。だからこそ、個別指導の魅力に繋がっていくのだと思います。まだまだ改善点は多数ありますので、日々日々精進して参ります。