2024年11月22日

子どものやる気を引き出す 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆子どもに勉強をしてほしい!☆

◇中学生にとって、勉強で一番大切な期間は、実は、この9月から12月です。中学生の数学嫌い、英語嫌いを決定させるのは、中学1年生のこの時期なのです。この9月から12月の期間に70%前後の生徒が、数学や
英語を嫌いになってしまいます。そして、どの学年も学習内容の難易度が高くなって、学力差が一挙に開く時期なのです。

 

◇この大切な時期に、皆さんのお子さんが、勉強もしないでダラダラしていたら、皆さんはどうするでしょうか。このメルマガを読んでくださっている皆さんなら、Iメッセージを活用して、自分の気持ちを伝えてみるというもの一つの手です。

 

「あなたが、この大切な時期に一生懸命勉強しているのを見るのが、私は好きなんだけど」

「あなたが勉強をしないでダラダラテレビを見ていると私、なんかイライラしちゃうんだけど…」

 

◇さらに今回は、人を動機づけるための非論理的な質問について考えてみたいと思います。

◇皆さんは、お説教をする時、理路整然とした発言をしていませんか?

 

「なんで勉強しないの?この大切な時期に勉強しないと、高校に入れないわよ。」

「テストで良い点数を取らなければ、内申点(学校の成績)も取れないし、あなたが望む高校へも行かれなし、今やらなくちゃいけないのわかるでしょ!」

「良い結果を出したいのなら、良い原因を作らないといけないのよ。だから、勉強しなきゃ!」

 

◇実は、このような理路整然としたお説教は、やる気を引き出すのには効果がないのです。

それよりは、非論理的な質問をする方が、やる気を引き出す場合が多いのです。例えばこんな質問をしてみてください。

「全く勉強をしたくないのを1。勉強を今からすぐにでも始めたい、やる気満々の状態が10として、今あなたはどのくらい勉強したい?1から10の間で答えてみて。」

 

◇この質問に対してお子さんが数値を答えたら、このような質問をするのです。
「どうして、もっと低い数字を答えなかったの?」

◇子どもが、2と答えたとしたら、なんで1と答えなかったのかを聞いてみてください。

 理由を子どもが探すうちに、勉強をする答えを出すのです。子どもたちは勉強をやらないと固い決意をしているわけではないのです。

ちょっとした質問で刺激してみることです。

ちなみにこの質問、全く論理的ではありません。この数字に根拠なんてないのですから。

◇正攻法で攻めるだけではなく、たまにはこんな質問をして、子どもたちの意識をちょっと変えてみてください。

『子どもたちに非論理的な質問をして意識をちょっと変えてみよう!』

 

 

☆ 親が適切に子どもの勉強に関心を持つ! ☆

◇私たち親は、子どもに良かれと思っていろいろと干渉してしまいます。その最たるものが勉強への干渉です。親が勉強に関心を示さなければ、子どもは勉強をするようにはなりませんが、そうだからといって、親が勉強に深く関わりすぎても、子どもは勉強から逃げていってしまうものです。

 

◇子どもの年齢に応じて、勉強をする目的をしっかり話しながら、親が勉強に関心を示し、子どもの努力をしっかり評価しながら、勉強に関わっていくことが大切なことです。例えば、こんな感じで。

 

お母さん:勉強する目的ってA君知ってる?

 

A君 :え~・・・。勉強するのに目的なんてあるの?

 

お母さん:勉強する目的はあるわよ。小学生のあなたが、何で算数や国語や社会を勉強するかというと、まずは人間として基本的な能力を身につけるためよ。計算だって、ものの考え方だって、知らなくてはならないことが一杯あるのよ。まずは、その基本的なことを今やっているのよ。

 

A君 :へ~・・。そういうことなの。

 

お母さん:それと、目の前にある課題に対して、しっかり誠実に対応するための訓練をしているのよ。小学生や中学生は、まずは勉強という課題で訓練するの。だから、勉強をすることが小学生や中学生の仕事なの。

 

A君 :そうなんだ。なんで遊びを仕事にしなかったのかな?

 

お母さん:遊びを仕事にしちゃ、今度は遊びが勉強と同じように辛くなるだけでしょ。それに、遊びは人それぞれの趣味があるから、訓練にはならないのよ。

 

◇このような会話で、たまには、勉強の目的を伝えるようにしてください。そして、その勉強は高得点を取ることが重要なことではなくて、しっかり目の前の課題に取り組むことが重要なことなのだ、と教えてほしいのです。ここがポイントなのです。95点をとっても、褒められない子どもは辛いものです。何で100点を取らなかったの?と言ってお母さんやお父さんが責めてしまっては、子どもはどんどん勉強から遠のいていくだけです。

 

◇子どもの勉強に過剰に介入して、子どもが勉強嫌いになってしまうことのないようしたいものです。親が適切に関心を子どもの勉強に持てば、子どもは自ずから勉強に向かうものです。
そのために、様々な会話を通じて、子どもに勉強する意味や勉強に関心持っているという
思いを伝えていきましょう。

『親が適切に子どもの勉強に関心をもつ!』

 

 

☆ 反抗期は自律期! ☆

 

◇今回は、自律期について書きたいと思います。自律期とは、俗に言う「反抗期」です。ですから、講演などで私は必ず「子どもが反抗しだしたら、大変喜ばしいことだと思ってくださいね、お母さん!」と言って、自律期の話をし始めます。

 

◇世のお母さん方は、子どもが突然反抗しだしたように思うので慌てるのでしょうが、人間は、いずれは親から自律=自立する存在になるわけですから、親への反抗は、自律期のスタートだと思ったほうが良いのです。

 

◇人間は、生まれて数ヶ月経つと自分と他者を認知します。もっと劇的に言えば、他者を発見すると同時に自分を発見するという感じで、自分と他者という存在があることを知ります。その最初の他者が大概は親で、なおかつ生命維持の大本ですから、子どもは、その他者を自分の心の中に取り込んで、「内なる他者」として、自分が生きていく上でのモデルにします。

 

◇その「内なる他者」をモデルにして出来上がった自分を「社会的な自我(ME)」といって、社会生活を営む時の自分になるのです。この「社会的な自我」の形成は、3歳ぐらいからでき始めて、徐々に社会領域を拡大していく中で、更に形成されていきます。

 

そして、反抗期は、「内なる他者」と自分の関係を問い直すことからスタートします。

 

「自分は、親のものじゃない!自分のものだ!」、

 

「なんでも親が決めているけど、自分にだって決められるんだ!」

 

というような、原初的な問いが子どもの心の中で発せられるようになって、初めて「内なる他者」を問題にします。

 

◇そして、「内なる他者」を否定して、新しい「内なる他者」を探し出すのです。この時に、「内なる他者」(=親の価値観)を否定するようになるので、親に対して反抗しているように見えるのです。

 

◇今まで大切にしてきた自分のモデルの「内なる他者」を否定してしまうのですから、外見も変わってきます。言葉遣いも変わってきます。あまりしゃべらなくなったり、趣味が変わったりします。

 

◇親が大切にしてきた価値観を否定しようとするのですから、当然親との関係も対立的になっていきます。この時期に、親子の間では、精神的な「親殺し」、「子殺し」があるのです。逆に言えば、この「親殺し」や「子殺し」をしないと子どもはいつまでたっても大人になれないし、親もいつまでたっても大人に戻れないのです。

つまり、子どもと親の関係を引きずって、依存しあう関係のままになってしまうのです。

 

◇それでは、親は完全に否定されて、全く新しい人間を「内なる他者」に子どもはするのかといえば、そうではありません。
子どもの時のように親を完全に「内なる他者」に掴みなおすことはありませんが、そうだからといって、全く親を消し去ってしまうこともないのです。

 

◇反抗期の後には、自然な形で、親との和解があり(実は、この和解が非常に難しいのですが)、「内なる他者」の構成メンバーに親の要素もまたしっかり入っているのです。

 

だから、安心して反抗期を受止めてほしいのです。

反抗期では、自分とは違う価値観を主張する子どもの姿をしっかり見守ってやることです。「大人になるための反抗なんだな」と思って。

 

ぜひ、そういう時期になったら、当たり前に出来ていることに注目して、子どものセルフ・エスティームを高めるように応援してください。

 

子どもたちも不安定的な状況を生きているのですから。

『反抗期は自律期!』