2025年06月03日

「高1クライシス」と「中1ギャップ」につきまして


【保護者の皆様へ】

高1クライシスと中1ギャップ――見逃せない“はじめの壁”が未来を左右します

 

1.中1ギャップとは?~約6割の中1生が学習でつまずく現実

 

お子さまが中学校に進学して最初の定期テストで思うような結果を出せないケースは、実に約60%にも上るという調査結果があります。これは、いわゆる「中1ギャップ」と呼ばれる現象が深く関係しています。

 

「中1ギャップ」とは、小学校から中学校へ移行する際の学習面・生活面の大きな変化にお子さまがうまく対応できず、成績や学習意欲が急激に低下してしまう現象です。

 

小学校とは異なり、授業は教科ごとに担当教師が変わり、内容の難易度や進度は大幅に上がります。さらに、定期テストは記述式や応用問題が増え、約30~50%の問題が思考力を問うものとなっている学校も少なくありません。

 

また、学習量は小学校の約2倍に増え、複数教科のテスト準備を同時に進める必要があります。こうした負荷の変化に対して、約70%の中1生が自分で計画的に勉強を進める力をまだ十分に持っていないため、学習習慣が崩れやすくなっているのです。


 

【ケーススタディ1】学習計画の立て方が分からず初めての定期テストで大幅減点

 

A君は小学校までは平均以上の成績を維持し、勉強も苦手ではありませんでした。しかし中学進学後、定期テストの準備を計画的に進める方法が分からず、テスト直前に慌てて詰め込む学習をしてしまいました。結果、テストで平均点の60点を大きく下回る40点台を取ってしまい、本人は大きなショックを受けてしまいました。

この出来事で「自分はできないんだ」という思い込みが強まり、勉強へのモチベーションが低下。保護者も戸惑い、「なんでできないの?」と責める言葉が増えてしまい、ますます本人の自信を失う悪循環に陥りました。

 


2.中高一貫校はさらに厳しい環境~中高一貫特有の先取り授業で約4割の生徒が早期に苦戦

 

特に中高一貫校では、中学1年生の時点で中2の内容や高校の一部カリキュラムを先取りする授業が行われることが一般的です。

この先取り教育は大学受験に有利と言われますが、一方で「理解できている前提」で授業が進むため、約40%の生徒が最初の半年以内に学習内容についていけなくなるという報告もあります。

授業の難易度が高いだけでなく、頻繁に偏差値や順位が公表されることで、真面目なお子さまほど「自分だけできていない」と感じ、精神的なプレッシャーから学習意欲が急激に低下してしまうケースが目立ちます。


 

【ケーススタディ2】中高一貫校での先取り授業についていけず孤立感が強まる

 

Bさんは中高一貫校に進学し、入学早々から高校範囲の内容を先取りして学習しました。初めは周囲に合わせて必死に勉強していましたが、理解が追いつかず、成績は下位に。順位表が発表されるたびに「自分はこの中で一人だけできていない」と感じ、友人関係も勉強面では孤立感が強まりました。

この精神的な負担で学習意欲が大幅に低下し、3ヶ月後には授業の内容を聞き流すようになってしまいました。本人と保護者の連携が遅れたため、改善に時間がかかりましたが、早期発見・早期対応の重要性を改めて痛感するケースでした。


 

3.高1クライシスとは?~高校で直面する「最初の壁」

 

高校に入学したばかりの1年生の約55%が、初めての定期テストで中学校までとは違う学習の難しさに直面し、成績が大幅に低下しています。これが「高1クライシス」と呼ばれる現象です。

高校の授業は、特に進学校であればあるほど難度が高く、進度も速いのが特徴です。例えば、数学や英語は中学校の2倍の範囲を、より深く理解しなければならず、1学期の期末テストだけでも中学1年間分以上の内容が出題されることがあります。

さらに、高校では数学が「数学Ⅰ」「数学A」、英語が「論理表現」など複数の科目に細分化されるため、単純に失敗のリスクは2倍、3倍にもなります。


 

【ケーススタディ3】高校での授業難度に対応できず、最初の定期テストで大きくつまずく

C君は中学までトップクラスの成績を収めて進学校に入学しました。ところが高校の授業は想像以上にスピードが速く、最初の定期テストでは40点台の科目が複数出てしまいました。

本人は自分の努力不足を痛感し、焦りから次第に勉強を避けるように。保護者も忙しさから勉強状況の把握が遅れ、気づいた時には欠点科目が増え、クラスの順位も大幅に下がっていました。

このままでは単位を落とすリスクもあり、浪人の可能性が浮上する非常に危険な状態でしたが、塾でのフォローを開始し、学習計画を立て直すことで少しずつ立て直しを図ったことがありました。


 

4.保護者の皆様へ早期対応の重要性と具体的なサポートのお願い

 

お子さまがこの「中1ギャップ」や「高1クライシス」でつまずいた場合、早期に気づき適切なサポートを行わなければ、約4割のお子さまがその後の学習に大きな悪影響を受け、最悪の場合、学校の継続が困難になるケースもあります。

お子さまの成績が思わしくなかった時、「まだ慣れないから仕方ない」と見過ごさず、

 

・具体的にどの分野が苦手かを把握し、重点的な復習授業を受けさせる(ちなみにアドバンスでは復習授業を受けても料金は定額です)

 

・家庭学習の計画を一緒に立てるなど、学習習慣の形成を支える(学習計画面談で学習習慣をつけてもらえます)

 

・失敗を責めず、励ましながら次への目標を定める(前向きなことばで励ましながら寄り添います)

 

など、寄り添いながら積極的に支えていただくことが不可欠です。


 

5.まとめ

 

「中1ギャップ」と「高1クライシス」はどちらも、成績や意欲の大きな変化が生まれやすい、人生の重要な分岐点です。

特にこの時期の対応が、その後の中学・高校生活、さらには大学受験までの道筋を大きく左右します。

保護者の皆様には、ぜひこの現状を深く理解いただき、お子さまがつまずいた際には一緒に考え、早めに手を差し伸べていただきたいと心より願っています。

私たちも全力でサポートいたします。お子さまの未来を明るく照らすために、共に歩んでまいりましょう。お子さまのご様子でご心配なことがございましたら、いつでも塾長阪本までお気軽にご相談頂けましたら幸いです。