子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆親自身の怒りをコントロールする☆
母:「太郎!早く宿題やっちゃいなさい!」
子:「わかってるよ」
しばらくして、
母:「宿題終わったの?」
子:「まだ」
母:「『早く宿題やりなさい』っていっているでしょ!」
子:「わかったよ。今やるよ」
しばらくして、ゲームをしていて宿題を終えていない子どもを見て
母:「何でお母さんのいうことがきけないの!!?『ゲームばかりしていないで宿題しなさい!』っていってるでしょ!!」
とうとうお母さんの怒り爆発です。
親であれば、何度もこんな怒りの感情を、鬼のような顔と大きな声を張り上げて爆発させたことがあるでしょう。
「全く、子どものせいでイライラさせられるわ」とお母さんは言うかも
しれません。
お母さんの怒りの感情は、子どものせいだと考えるより、お母さんが感情的なアプローチを選択したと考えることができます。感情的になるのは、相手のせいでもなければ、自然に湧き上がって来るものでもなく、目的があると考えると、無暗に感情的にならなくても済むようになります。
上の会話の例では、何とか子どもに宿題をやらせようとする目的で感情を使ったと考えるのです。怒りの感情は非常に強いので、即効性もありますが、
1.冷静に話している時は、いうことを聞かなくなる可能性があります。それは、親が感情的でなければ、本気だと子どもが感じなくなるからです。
2.感情を使う親を避けるようになるかもしれません。誰でも、嫌な思いはしたくないですものね。
3.子どもも、感情を使って他人を操作するようになるかもしれません。親の行動を学習するのでしょう。
4.子どもの自己肯定感が低下する可能性があります。こんなに親を怒らせているのは、自分が悪い人間だからだと感じるのかもしれません。
以上のようなリスクが考えられます。
このリスクを避けるためには、私たち親が怒りの感情を使ってアプローチする前に、
1.自分の怒りの感情の目的を考えます。自分は何を達成しようとしているのか?という質問を自分自身に投げかけるのです。
2.感情を使うことで、本当に目的が達成できるかを考えます。
3.感情を使う以外に、他に言い方やアプローチの方法がないか考えます。
という3つのステップで考えてみて下さい。
自分の感情を俯瞰すると、感情的にならずに済むだけでなく、怒りの感情も鎮静化します。
親として、子どもに怒りの感情の扱い方の手本を示したいものです。
☆ 適切なフィードバック ☆
親である私たちは、子どもの可能性を広げたいと思いながら、注意を促したり、アドバイスをします。子どもの行動に対するこのようなアプローチをフィードバックといいます。
今回は、効果的なフィードバックの方法をお伝えします。
フィードバックの意味をきちんと理解していないと、単に注意だけで終わってしまいます。誤った行動を注意して、すぐハッと気づく子どももいますが、多くの子どもは叱られているような居心地の悪さを感じて、その場をやり過ごすことに意識が向かい、結局、可能性を広げることはできなくなってしまいます。
そこで、必ず次の二点について、親が伝えるか、子どもと一緒に考えることが大切です。
一つは、良かった点を必ず伝えます。どうしても良かった点が見つからなければ、せめて子どもの気持ちを理解する言葉を伝えます。
そして、もう一つは、改善点を伝えます。改善点は、失敗した時ばかりではありません。成功した場合でも、更に良い方法がないか吟味するのです。
プロセスによっては、今回は、成功したとしても、いつも成功できるとは限らないからです。
この二点にふれることが、子どもの新しい行動を引き起こし、可能性を広げるために必要不可欠です。
そこで、・・・
親:「あなたは、今回、本当によく頑張ったと思うわ。だけど、ちょっと時間がかかり過ぎたわね。もう少し効率よくできるといいわね」
もともと、メッセージは後半部分が印象として残ります。まして、「だけど」で、後半が強調されれば、前半の良い評価はますます印象に残らないわけです。
親:「あなたは、今回、本当によく頑張ったと思うわ。そして、ちょっと時間がかかり過ぎたわね。もう少し効率よくできるとさらに良いわね」
会話として違和感があるかもしれませんが、「だけど」を「そして」に変えました。これは、前半部分と後半部分を並立させることで、前半の良い評価も印象に残るようにしているのです。
これによって、子どもには、良い部分と課題を明確にして伝えられるので、子どもは親のフィードバックを冷静に受けとめ、よりよい行動を起こしやすくなるのです。
偏った価値観や感情の趣くままではなく、適切なフィードバックを心掛けましょう。
適切なフィードバックは子どものやる気と成長に欠かせないものなのです。
☆褒めるより喜んじゃいましょう!☆
仮に夕食後、ご主人から
「今日の夕飯、すごく手が込んでいて、お前も腕をあげたな~」と言われるのと、
「今日の夕飯も、すごく美味しかった!美味しくて食べ過ぎてお腹が苦しい~」と言われるのでは、どちらがよりうれしいでしょうか?
よく味わっていただくと、多くの方が後者を挙げるのではないでしょうか。
前者は、褒め言葉です。うれしくないこともありませんが、世界一の料理人から褒められたのならともかく、家族からの褒め言葉では、「あなた何様?」と私なら心の奥でつぶやきそうです。
一方、後者では褒められた感じではありません。ただ、事実として「美味しかった」と伝えています。さらに、美味しかった証拠に「苦しくなるほどに食べてしまった!」と伝えています。これほどまでに、美味しかったとご主人や家族に満足してもらえたら、ルンルン気分になりそうです。
よく子どもを褒めて育てなさいと言われますが、実は褒められれば嫌な気持ちにはなりませんが、自分のしたことが相手に喜んでもらえたというメッセージほどのうれしさや、やる気には敵いません。
お子さんが、何かに喜んでいたら、喜びの意味がよくわからなくても、「あなたが喜んでいるからお母さんもうれしいわ」と、一緒に喜んじゃいましょう。
勉強や部活動、その他で、何かお子さんが達成したことがあれば、ただただ一緒に喜んでしまいましょう。仮に、お子さんがそれほど喜んでいない様子でも、保護者が勝手に喜んでしまいましょう。
お子さんはクールな振りをしているだけかもしれませんし、仮にそれほどの喜びを感じていなかったとしても、お母さんやお父さんが喜んでいる姿に、自分が成したことの重要性に気づくことにもなるでしょう。それが、お子さんの自信となります。
決して、「よくやった!」、「エライわ!」なんて、褒めないことです。
ただただ、親しい友人の成功を共に喜ぶように・・・。
仮に全体を喜べなかったとしたら、部分的に喜びましょう。
親:「今日の野球の試合に勝てて良かったわね」
子:「うん。でも、全然ヒット打てなかったし・・・」
親:「ヒットが打てなくてがっかりしているんだ・・・」
子:「それはそうだよ。みんなヒット打ったのに・・・」
親:「そうね。みんないいヒット打ってたもんね。でもね、あなたの送りバントが成功して、まわりまわって得点になったじゃない。お母さんうれしかった。あのバントが成功してなかったら、得点に結びつかなかったもんね。ヒットは打てなかったけど、あなたはあなたの仕事をきちんとしたことがうれしくて仕方ないわ。次はヒットでもチームに貢献できるように練習してね」
子:「うん」
やる気を持ち直して、引き続き頑張る子でいてくれることでしょう。