2017年03月23日

子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

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☆ 相手の気持ちを理解しようとすること! ☆

 

◇今回は、22年前の話を書きたいと思います。私が、まだ塾の教室責任者をしていた時の話です。

 

◇私の受け持ちの生徒のお母さんから電話がありました。娘と喧嘩をしたら、娘が家を出て行ってしまって、夜になっても帰ってこない!という相談でした。

 

◇娘が、私のことなんて何も分かっていない!お母さんなんてお母さんじゃない!と言って、家を出て行ったということでした。このお母さんとは何回も面談していたので、お母さんの何が、娘との喧嘩を引き起こしたのか、大体想像がつきました。

 

◇そのお母さんは、いつも正義を全面的に押し出して、「こうあらねばならない。こうするべきだ。」という態度で、子どもに接していました。その日も、子どもの言い分も子どもの感情も受け入れる前に、正義を振りかざして、子どもの行為を評価してしまったのだと察しがつきました。

 

◇喧嘩をした時の会話は、お母さんによれば、こんな内容でした。

 

 

お母さん:今日の試験どうだったの?

Aさん:自信ないな・・・・。

お母さん:しっかり勉強しないからでしょ!テストの前に勉強するのは当たり前じゃない。

Aさん:でも、部活もきつかったし、B子ともいやな感じになってたし、それにお母さんの仕事が忙しくって、夕飯は私が作っていた時もあったでしょ。

お母さん:そんな言い訳しても駄目よ。Aは、いつも他人のせいにする

んだから。

 

◇こんな会話の後に先のAさんの捨て台詞があったのです。この電話での相談で、私は、Aさんのお母さんに言ったのは、以下のようなことです。

 

「まずは、Aさんの状況や感情を受け入れようとすることが大切です。Aさんからすれば、きっとお母さんに言いたいことだってあっただろうし、それにテストの結果の半分は、お母さんの仕事が遅かったことだとも思っているのだろうから、その気持ちをしっかり受け止めて、それからAさんと向き合うべきだったのです。そうしないから、反発をしてしまったのではないでしょうか。気持ちを理解してくれる親がいて初めて、Aさんは救われるのだと思います。」

 

◇お母さんにも言い分はあるでしょうが、まずは子どもの気持ちを受け止めて、その後で正義を押し付けるのか、それとも正義を気づかせるのか、ここが考えどころなのです。子どもには、いろいろなことを十分理解できる能力があります。一方的な正義の押し付けは、逆効果になるだけかもしれません。

 

◇最後に結末を。その2日後、このお母さんとAさんは、ニコニコ笑いながら、私のところにきて、仲直りの様子を話してくれました。

 

『相手の気持ちをまずは理解しようとすること!』

 

☆ 子どもに対して多面的な評価をしていくようにしよう! ☆

 

◇今から9年ほど前に、NHKの「日本のこれから」という生番組に出たことがあります。学力問題がテーマで、何を言っても自由ということで、いろいろ意見を言ったのですが、その時に感じた危惧が、ますます大きくなってきました。今回、学力にまつわることに関して書きたいと思います。

 

◇昨今は、学力の高い人が人間的にも上で、学力の低い人が人間的にも下だという風潮があるような感じがしますが、決してそんなことはありません。学力が高くても低くても、一人前の大人になることが重要なのです。知識の獲得競争に向いている人間もいれば、向いていない人間もいますし、知識を活用することに長けている人間もいれば、そうでない人間もいるのです。子どもの一時期をそういう単純な価値観で縛ってはいけないと思います。

 

◇学校教育で重要なことは、学力を獲得するということではなく、学力を獲得する過程の中で、さまざまなことを経験することにあると私は思います。学力を獲得することが目的ではなく、学力を獲得しようと格闘する中で、身につける社会性が重要なのです。この社会性こそ、一人前の大人になるということにつながっていくのです。

 

◇目の前にある課題に対して誠実に対応するとか、見本になる人の真似をすることで、見本となる中身が自分の中に入ってくるとか、そういう経験が重要なのです。学びの基本動作を学ぶことで、子どもから責任ある社会の構成メンバーとなり、現実から学んでいけるようになることが重要なことなのです。単なる学力獲得忠誠競争に勝利することが、学校教育の教育効果ではないのです。そのことを忘れてはいけません。しかし、昨今の風潮は、それを忘れてしまっているように思えるのです。

 

◇学力という基準だけで、子どもを評価しては駄目です。他人に対する共感力や相互扶助的な行動力や問題解決能力などの基準で、子どもを多元的に評価していくべきなのです。そうすれば、子どもはきっと今よりも、もっと活き活きするはずです。子どもを一面的に学力で評価しないようにしたいものです。

 

『子どもに対して多面的な評価をしていくこと!』

 

 

☆ 春休みの計画をたてよう! ☆

 

◇今月の末から春休みが始まります。少し早いかもしれませんが、今から、春休みの計画を子どもと一緒に作り出してみてはどうでしょうか。まさに、子どもの自律を促す絶好のチャンスになるはずです。

 

お母さん:春休みはどういう計画を立てようか?

A君 :え~?春休みは、どこかに連れて行ってくれるの?

お母さん:そうね。1回ぐらいはどこかに行けるようにしたいわね。

A君 :どこに行こうかな。たまには、遠くに行ってみたいな。

お母さん:そうね。お父さんと考えておくわ。それより、A君の春休みの計画を考えましょうよ。

A君 :嫌だよ。どうせ、勉強の計画でしょ!僕だけなんで、つまらない計画を考えなきゃいけないの?

お母さん:そんなことはないわよ。お母さんだって、家事の計画を立てるし、お父さんだって、家族サービスの計画を立てるんだから。みんなで春休みの計画を立てましょう。お母さんは、A君にまず春休みの目標を作ってもらいたいんだけど。

 

A君 :お母さんは、何が目標なの。お母さんの春休みの目標は何?

お母さん:そうね。春休みの目標としては、台所の掃除を3日間でして、みんなが驚くほどきれいな台所にするわ。A君は?

A君 :え~?なんだろうな。今度6年生になるから、体力作りかな。

お母さん:いいじゃない。体力作りに何をやるの?

A君 :う~。縄跳びをやろうかな。

お母さん:いいじゃない。縄跳びを毎日何回やるの?

A君 :じゃあ、30回づつやるよ。

お母さん:凄いじゃない。頑張りなさいよ。じゃあ、勉強の目標は。

A君 :そうくると思った!どうしようかな?

 

◇こんな感じで、先を急がずに、お互いが納得しながら、目標を決め、計画を立て、最後に紙に書いて、みんなの見えるところに貼って、家族で確認しながら、春休みの計画を実行していくようにしよう。

 

『目標を立て、計画を作る!』