子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆反抗期=自律期だからこそ、子どものセルフ・エスティームを上げること!☆
◇先週の日曜日に、和光市にある学習塾の保護者会で「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」と題して、子どもの反抗期=自律期のアプローチをお話してきました。
◇今回は、その時に出た自我形成について書きたいと思います。人間は、生まれた直後は、世界と未分化な状態の意識です。つまり、世界と自分が一体となっていて、自分も世界も何も認識できていません。その状態が、数か月続いて、ハイハイをし出すころには、うすうす自分と自分以外のものを意識し出すようになります。
◇1歳になるかならないかの時期に、人間は、歩き出します。そうです。最初の自立を成し遂げます。この時期に、他者を発見し、自分を発見します。この0歳から1歳の間、人間の子どもは、マイナスのストロークをほとんど受けません。
周りの大人は、赤ちゃんにマイナスの言葉を投げかけません。「可愛らしいわね」とか「元気のよい泣き声ね」とか「なんて可愛いんでしょう」とか、プラスのストロークを与えて、子どものセルフ・エスティームを高め、自立を促すのです。
この時期が、一番セルフ・エスティームが高いのです。
◇さて、他者と自分を発見した人間ですが、自我形成の中を見てみると、本来的な自我(生まれながらに持っている自我)があるだけです。この本来的な自我は、非常にわがままな自我です。世界と一体となっていたころの自我ですから、自己中心的な自我なのです。
それに対して、他者は、自分の生命を保証してくれるお母さんやお父さんですから、嫌われないようにしなければなりません。しかし、本来的な自我は、わがままですから、他者と対立してしまう可能性が大いにあります。
そこで、人間は、まず、心の中に「内なる他者」としてお母さんやお父さんを取り込みます。心の中にうまく取り込めなければ、大きくなってから引きこもりになってしまう可能性もあります。心の中にいつも他者が、それも一番重要な他者がいないということは、寂しくて仕方がないことですから。
そして、3年前後をかけて、この「内なる他者」をモデルに、人間は、「社会的な自我」を徐々に形成していきます。この「社会的な自我」で他者とコミュニケーションをとるようになるのです。
簡単に書きましたが、これが自我形成です。3歳前後から社会的な活動領域が広がるのは、「社会的な自我」が形成されていくからです。
◇さて、人間の自我形成は、ここで終わりません。1歳で自立した人間は、10年以上たつと歩くことの達人になります(達人の法則:何かを毎日6時間、10年以上続けて20,000時間を超えると、やり続けたことが達人の領域に入るのです)。
そうなると、子どもは、親の所有物ではない、親に決められなくても自分で決められる、そう思うようになります。そして、親から自律しようと「内なる他者」を否定しだすのです。これが反抗期=自律期です。
「内なる他者」を否定し出すわけですから、その「内なる他者」をモデルにした「社会的な自我」が揺れて、今までのような状態ではなくなります。不安定な精神状態になるのです。
◇そんな状態の時に、欠点や短所を指摘して、直しなさいという以上に、当たり前にできている点を承認し、自律しようと不安定になっている子どもの存在を承認することが重要なことなのです。
「あなたがどんな状態でも、私はあなたを認めている」というメッセージを送り続けることが大切なのです。これが、子どものセルフ・エスティームを上げなければならない所以です。自我が不安定な状態だからこそ、子どもの当たり前にできている点を認めてください。試行錯誤を繰り返しながら、子どもは自律を成し遂げていくことでしょう。
◇そして、「内なる他者」を否定していたことで、親と対立構造ができていたことを解消するようになります。親との和解へ向かいます。親と和解ができてこそ、子どもは本当の大人になっていきます。
大人とは、歳の問題ではなく、自我形成上の自律と親との和解を言うのです。親との和解をもって、反抗期=自律期が終了となります。ぜひ、それまで子どもをしっかり見守っていきましょう。
『反抗期=自律期だからこそ、子どものセルフ・エスティームを上げること!』