2022年4月からの高校教科書改訂につきまして
今年は中学校の教科書改訂で、非常に難しくなったと持ちきりの年でしたが、いよいよ来年4月に高校の教科書が改訂されます。
6月にホームページのブログを書かせて頂いたのですが、非常にPV(閲覧数)が多く、「高校 教科書改訂」でググって頂くと、文科省よりも弊社の内容が一番上に来るなど、皆さん、高校教科書改訂に興味関心をお持ちだということを痛感いたしました。
来年2月ごろには恒例の保護者会で詳しいお話をさせて頂く機会を設けたいと考えておりますが、一足早く概略お伝えさせて頂きます。
まず、対象は、現中3生(新高1生)以下の方全員です。
現中3生が高1になる来年4月に高1の教科書が変わり、新学習指導要領が実施されます。それが年次進行で、高2の時に高2教科書が、高3の時に高3教科書が変わり、共通テストを受験する時には共通テストが変わるという、すべてが変わる一大節目になるのが、現中3生です。
それでなくとも、高1生は勉強についていけなくなるケースが多くなる「高1の壁」と言われる年で、この高1をうまく切り抜けないと、3年間本当に苦労ばかりをしなければならないといった生徒も過去、多く見て参りました。
そんな大変な年に、教科書改訂まであるわけですから、現中3生以下の皆さんは、本当にそれを踏まえて、早め早めの対応を取って頂く必要があります。
【高校学習指導要領改訂】
各教科ごとのポイントです。
【国語】
科目構成が全面一新されました。「言語能力の確実な育成」が大きな改善点です。
現代の国語 2単位
言語文化 2単位
論理国語 4単位
文学国語 4単位
国語表現 4単位
古典探求 4単位
です。
必修は現代の国語と言語文化ですが、現行の国語総合よりは負担増になるケースが多そうです。
【数学】
数学Ⅰ
数学A
数学Ⅱ
数学B
数学Ⅲ
数学C
と数学Cが復活してきます。
科目間の単元移動も多く、ベクトルが数Bから数Cに移行します。
共通テストでは、現行のⅠAⅡBという範囲がⅠAⅡB+Cとなり、
文系でも数Cを履修しなければならないので、これは大きな負担増となります。
私立大学が範囲をどう定めてくるかが注目点ではありますが、早稲田大学が文系でも数学を必修にしたように、数学的思考を高めた学生を希望する大学は、共通テストと同じく、IAⅡB+Cとして、ベクトルまで含めた範囲になることが予想されます。
【英語】
中学英語の大変化と同じく、高校英語も大変化を遂げます。
現行のコミュニケーション英語という科目が「英語コミュニケーション」に変化して、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと年次で進行します。
また現行の「英語表現」が、「論理・表現」Ⅰ、Ⅱ、Ⅲと年次で進行し、名称も変わります。
英語による発信力を強化する改訂が一番のポイントであり、4技能を総合的に評価していくのが英語コミュニケーションという科目になり、スピーチやプレゼンなど言語活動を目的とした「論理・表現」の2本柱となります。
語彙数も大幅に増加し、現行の3000語から、4000~5000語へと2000語近くも増加します。
英語コミュニケーションの教科書では、SDGsにつながる世界が抱える諸問題を中心に扱っていることが大きな特徴です。
ある教科書では、8レッスン分の100%まるまるSDGsに関するテーマになっているようです。
それだけ、SDGsの観点からの諸問題を考えさせたいという意思の表れだと思われます。
新しい「論理・表現」科目は、見開き構成で、左ページが「会話」を中心としたよく使われてる表現をユニットを通して学ぶ形になります。右ページでは、「文法事項」をしっかりと扱っており、文法重視も徹底されています。
【地理・歴史】
日本史と世界史が統合され「歴史総合」という必修科目が新設されます。18C以降の歴史を中心に近現代史を必履修になりました。通史としては「日本史探求」、「世界史探求」として学ぶことになります。
【公民】
現行の現代社会がなくなり、「公共」という科目が新設されます。主権者教育が大きな方針となるようです。
【理科】大きな変化はありません。
いずれにしましてもかなりの大きな変化になることには相違ありません。高校入試は一つの通過点。入試が終わればすぐに高校内容に入り、余裕を持った高校生活を送っていきましょう。
大学合格者の入試選抜方式の割合は
一般選抜 53%
学校推薦型選抜 36%
総合型選抜 10%
となっております。
今や二人に一人が総合型・推薦型選抜の時代に突入していることより、
高1の初めからの評定値積み上げ、定期テストをしっかりと取ることなどが、今まで以上に求められてきており、高1のスタートダッシュをいかに成功させるかが非常に肝要になります。
いろいろなお話を2月の保護者会でまたさせて頂ければと思います。