2015年06月26日

子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆ 全面的に子どもを信じよう ☆

保護者であれば、わが子に何かしらの能力があると信じているものです。
万が一、全く能力がないと感じていれば、親の行動は、二つの内のどちらかでしょう。

1: 子どもに対して、全く諦めて、何も指導をしない
2: いちいち指示や命令をして子どもの行動を管理する

よく、保護者の方から「我が子は、やればできる子だ」という言葉を聞きます。お子さんの能力を信じている素敵な言葉ですね。
ところが、能力だけを信じていると、思わぬ落とし穴があります。
「やればできる」とは、大抵の場合まだやっていないのです。
やればできると能力を信じていると、やらなければ能力はまだ発揮されていないのです。ですから、やってもらいたいと思うのが親心です。

親:「少しは勉強しなさい!」
子:「わかっているよ」
親:「わかっているなら、言われなくても自分から勉強しなさい!あなたは、勉強すれば必ずできるようになるのよ」
子:「・・・(そうは思わないけどなぁ)わかったよ・・・」
(自分の部屋に行く)

これでは、子どもはやればできることを実感できていないようです。
そこで、子どもの能力だけでなく、今は勉強しないけれど、「やがて自分で必要性に気づいて勉強する」とまで信じていたとしら・・・

親:「あなたは、将来どんな仕事に就きたいの?」
子:「まだ、決めてない」
親:「そうよね。仕事も沢山あるし、なかなか決められないわよね。でも、近い将来、進学する学校を決めなければならなくなるし、こんな仕事をしてみたいなって思う時があると思うの。そんな時、どんなことでもできる準備をしていて欲しいの。やりたいことが見つかった時に、『勉強ができないから、諦める』なんてことは、お母さんとしては残念でしかたがないわ。今、『勉強は苦手でいやだな』と思っているかもしれないけど、あなたは必ずできる子よ。お母さん信じているわよ」

二つの会話の違いは何でしょうか。能力があるから勉強して欲しいという親の気持ちは同じです。しかし、前の会話では、子どもの能力を信じているというものの、結果的には、指示命令で子どもの行動を管理することになり、結局は能力を信じていない行動と変わらなくなってしまっています。後ろの会話は、『子どもが必要性に気づけば、自分から勉強する』と信じているので、ガイドやコーチのように気づける環境づくりに意識を向けているのです。

是非、子どもに能力があるし、さらに、その能力を自分で開花させる力もあると信じてみて下さい。子どもの接し方が変わり、子どもはより自分に自信を持てるようになるはずです。

 

 

☆ お子さんの一面しか見ていないとしたら損ですよ ☆

先日、あるお母さんから、二人のお子さんについての悩みを打ち明けられました。
実は、二人のお子さんの成績が芳しくないのだそうです。
ここでは具体的な成績には触れませんが、私とお母さんが交わした会話をご紹介します。

私:「成績以外に、お二人のお子さんのことでお悩みのことはありますか」
母:「そうですね。成績以外は特にないですね」
私:「そうでしたか。ところで、お子さんは、普段どのような生活を送っていますか」
母:「中2の息子は、毎日、朝練、午後練習と部活に夢中です。休日も、練習だの試合だのと、私も驚くくらいの忙しさです。その合間に塾に通っているような状況です。」
私:「そんなに忙しくて、お子さんは、学校に行きたくない、部活がいやだ、塾に行きたくないなどと弱音を吐くようなことはありますか」
母:「そう言われてみると、私も驚く位に忙しくて、大変だと思うのですが、本当によくやっていますね」
私:「休みもないのに、弱音も吐かずに、3つの課題をこなしているなんて、素晴らしいお子さんですね」
母:「確かにそうですね。私でも、あんなにはこなせませんね」
私:「もう一人のお子さんはいかがですか?」
母:「高2の娘なんですが、息子と違って、緩い部活に加入していて、息子とは違い、のんびりした生活をしています」
私:「のんびりというのは、具体的にどんなご様子ですか」
母:「休みの日には、買い物に行ったり、友達と遊びに行ったりしています」
私:「あまり成績が良くないということは、勉強はあまりしていないのですか」
母:「いいえ。成績は良くないのですが、机には良く向かっています。普段は、宿題に追われているようですけれど・・・。テスト前も学校から帰ると勉強をはじめて、夜遅くまでやっているようで、私が先に寝てしまうことが多いくらいです。」
私:「お嬢さんは、本当に頑張り屋さんのようですね」
母:「確かに、頑張り屋さんなのですが、結果にならないんですよね。それが悩みの種です」
私:「そうですよね。成績が上がらないと親としては不安ですよね。ところで、もし、お嬢さんが全く勉強しなかったらどうですか」
母:「それはそれでもっと困ります。『勉強しなさい!』と怒鳴るでしょうね」

私:「・・・ということは、『今まで勉強しなさい!』怒鳴ったことはないということですか」
母:「『勉強しなさい』と言ったことはありますが、最近は、ほとんどありませんね」
私:「今の話を聞いたら、世のお母さん方は、どんなに羨ましがることでしょうね」
母:「そう言われてみれば、そうですね。 今、お話していたら、『結構、うちの子良い子だな』なんて思ってきました。親ばかですかね」
私:「親ばか結構じゃないですか。世の中の親は、もっと子どもに対して親ばかでいいと思いますよ。とかく、ある一部分を見て、『うちの子どうの・・・』と悩まれるケースが多いと思うんですけれど、お子さんには、普段、親が気づかない良い所が沢山あると思うのです。もっともっと、それを発見して、親ばかになってほしいなと思います」
母:「そうですね。日頃は、成績のことばかり気になってしまうけど、子どもの全体を見渡すと良い所が見えてきますね」
私:「是非、お子さん達に、『いつも頑張ってるね。あなた達が頑張ってくれるからお母さんも嬉しい』と伝えてあげて下さい。成績について、お母さんの心配ごとについては、『お母さんは、心配しているのだけど・・・』と切り出して、解決策を話し合ってみて下さい。きっと何かが変わると思いますよ」

以上のような会話でした。
是非、皆さんのお子さんについて、このお母さんのように、視野を広げて見てみて下さい。

もっと、お子さんが素敵に見えるはずです。

きっと、お子さんにとっても素敵なお母さんになっているはずです。

 

 

☆ 親の嫌われる勇気 ☆

「もっと、自分のことは自分でできる子になって欲しいのだけど・・・。どうしたら、そんな子どもになってくれますか」と訊ねられました。

皆さんは、どう思いますか。

どうしたら、自分のことは自分でできる子どもになると思いますか。

以前、目の不自由なお嬢さんを持つお母さんの娘さんに対する普段の様子がテレビで紹介されていたことがありました。

お嬢さんの目が不自由であるにも関わらず、痛ましいほどに厳しい対応をされていたのが印象的でした。

そのお母さん曰く、「私の方が先に逝く。娘が一人で行くためには、一通りのことを自分でできるようにならなければ、生きていけない。だから、私はきびしく育てています。」

お嬢さんは、目が不自由であることをほとんど感じさせないような自然な生活ぶりなのです。

私は、このお母さんから学びました。
「将来を見据えることなく、目先の面倒を見てあげる、見てもらうことだけで、親子が共に幸せを満喫していてはいけない。親の存在意義は、将来に渡って子どもが一人で生活することができるようにサポートすることなんだ」と。

もちろん、ただ躾と称して厳しく対応するだけでは、これも問題です。階段を一段一段、昇るように、少しづつ子どもができることを増やしていき、その都度、出来るようになったことを子どもと共有することは大切です。

良い親でいたいと願っている保護者(ほとんどの保護者)が陥りやすい罠です。

私たちが、子どものことで、「忙しい」と感じる時には、「今、子どもにしていることが、子どもの独り立ちに役立つか」振り返るチャンスかもしれません。