2017年11月08日

何が起こるかわからない


総合進学塾アドバンスの阪本です。

10月に行われた入試説明会でもお話した「何が起こるかわからない」

というお話が保護者の方の印象に残って頂いているようで嬉しく思っています。

 

ご参加されていない方も居られるので、少しお話を。

 

緊張しぃ(関西弁ですいません笑)のお子さんが、人生初の高校入試で本当に

緊張し過ぎてしまい、入試1時間目のテストで頭が真っ白になって白紙で答案を

出してしまったことがあったというお話です。

 

これは実際に7~8年ほど前にあったお話なのですが、我々大人からすると

「まさか、そこまで頭が真っ白になるなんて考えられないだろう」などと

思ってしまうわけですが、本当にそれこそ「何が起こるかわからない」のが

人生です。

 

2時間目、3時間目といくにつれ気持ちも落ち着いてきて白紙で答案を出した

ということはなかったのですが、1時間目の白紙0点で、足切り対象となって

しまい、不合格通知をもらうことになってしまうのです。

 

その報告を受けた私もそれこそ「頭が真っ白」になってしまったのは

言うまでもありません。

 

生徒と保護者の方にお越し頂き、色々理由をお聞きしたり、色々なアドバイス

もさせてもらい、1.5次入試を受けることになり、1.5次では全く問題なく、

非常に高得点で合格をきっちりと勝ち得てくれたので本当に安堵しましたが、

本当に入試では「何が起こるかわかりません」というお話第一弾でした。

 

その話に乗っかかり、ついつい持ち時間を延長してしまいながらも、

このお話もしたいということで、第2弾の「何が起こるかわからない」お話も

させて頂きました。

 

それも少し前のお話になりますが、兵庫の私立の雄と申しますか、志願者数や

倍率も毎年ほぼトップになっている超難関進学校を受験した生徒のお話です。

 

その生徒と保護者の方が来られた面談では

漠然と近場の公立高校上位校辺りをお考えになっていたのですが、

その生徒は「頑張りやさん」で負けず嫌いな所も大いにあったので、

「超難関ですが、私立の〇〇学園のⅢ類理数を目指してみたらどうですか」

と勧めてみました。

「将来難関国公立大学に進学できるように、その環境は大切ですよ」

というお話をして、オープンスクールに行ってもらう流れになりました。

 

その前年に特別に優秀な生徒が同じ学校の同じコースに特待生で合格を

してくれていたので(後に報告に来てくれ、現役で国公立大学の医学部に

合格したそうです)、後に続けとばかり、その生徒の頑張りやさんの性格

に懸けて勧めたのですが、よく考えると我ながら少し安易ではなかったかと

思うところもあります。

 

オープンハイスクール後、「先生、頑張って目指します」という強い言葉で

返事をくれた生徒のために、英語は小職が、国語は副塾長に、そして数学は

当時のベテラン大学院講師に彼の学習計画を作るのを手伝ってもらい、彼と

それを打ち合わせし、これで合格できなきゃ、誰ができるんだという位の

学習計画を作りました。

 

彼が偉いのが、そこからです。

 

毎日、週3回の通塾日には必ず1時間前に来て、その日の学習計画をこなし、

また通塾以外の日は、自宅で本当に我々も驚くくらい学習計画を着々とこなして

くれるのです。

 

本当に努力というのは大切だとその生徒から学んだのは、彼の行動でした。

 

冬前には、過去問でも合格最低点を割ることもなく、5年間を5回繰り返し

ある程度どんな問題でも解けるようにと、他の難関校の問題にもチャレンジして、

かつ不安やプレッシャーをできる限り和らげるよう面談も行い、着々と2月の

入試日まで過ごしました。

 

その時の私の本音は「これだけ努力したのだから、神様は見てくれているだろう」

でした。

 

ところが・・・・・

 

 

入試が終わった翌日の土曜補習前、どんな様子か聞かないと思っていた矢先、

1本の電話が・・・・。

 

「塾長、数学が難しかったようで、ショックを受けているんです。

土曜補習にも行きたくないと言っています」

 

と生徒のお母さんから電話です。

 

「えっ」と私も絶句。

 

「お母さん、本人と話をしてみますので、来させて下さい。1次がだめでも

1.5次や2次などもあります。まだまだあきらめてはいけません」

 

「わかりました。行くように伝えます」

 

 

この電話の後ほど、胸の鼓動と高鳴り、不安な気持ちになったことはありません。

 

 

 

彼が来ました。

 

塾長室に招き入れ、少しずつ話かけます。

 

「数学が難しかった?」

 

「はい」

 

と今にも涙がこぼれ落ちそうで、見ているこちらも辛くなります。

 

「そっかぁ、入試はいろんなことがあるから。でもまだだめと決まったわけでは

ないし、万が一だめでも1.5次や2次(後期)もあるから気落ちせずに、

また前を向いて歩いていこう」

 

「はい」

 

と涙がポロポロこぼれ落ちます。

 

 

 

「(あんなに努力したのに、なんで?なんでだ)」と私は心の中でつぶやき、

 

 

「じゃ、今日は勉強する気持ちにならないだろうから、一旦家に帰って

気持ちを落ち着かそう。月曜日には来れるよね」

 

「はい」と涙が止まらない彼を見ると、本当に申し訳ない気持ちになります。

 

 

今日は同級生にもばつが悪いだろうし、メンタル的に勉強をできる日でも

ないだろうから、帰宅させるという判断をしました。

こういった際には、次の月曜日も来れないというケースがあるので、そこも

考えたのですが、「彼ならそんなことは絶対にない」という確信がありました

ので、少し不安はありましたが、帰宅の途につかせました。

 

 

その後、お母さんにも電話を入れ、報告を差し上げ、また次週から頑張りましょう

というお話をして電話を切りました。

 

 

そして

 

 

合格発表の日。

 

 

 

本人が一番感触を知っているのが入試ですから、その彼が数学ができなかったと

いうのですから、私もあまり気が乗らない日でした。

 

 

 

ところが・・・・・・

 

 

 

なんということでしょう

 

 

 

 

合格通知を持って、満面の笑みで報告に来てくれる彼の姿です。

 

 

「先生、Ⅲ類理数合格しました!!!」

 

「おー、合格したんやー!!すげー!!」

 

 

と先日までの涙と暗い気持ちを吹き消すかなような瞬間です。

 

 

その後、点数開示で得点を見せてもらうと、な、なんと、

合格最低点で合格しているのです。

 

 

しかも、数学は確かに落としていましたが、その分、苦手な英語で

カバーできていて、トータルで合格最低点で滑り込み。

 

 

なんということでしょう。

 

 

「入試は本当に何が起こるかわからない」

 

を体感しました。

 

 

 

その後、彼は3年後わざわざ保護者の方と一緒に報告に来てくれ、

あの涙を一緒に流した塾長室で大学合格の報告をしてくれたのです。

 

 

「先生、京都大学に合格しました」

 

 

これほど塾講師冥利に尽きることはありません。

 

 

彼の努力には本当に頭が下がります。彼には努力というものの大切さを

教えてもらった気がします。

 

 

とかくポテンシャルが高い、地頭がいい、そんなのは1%にも満たないのでは

ないかと感じます。

 

 

本当に結果を出す人は、努力99%なんだということを教えてくれた

□□くんでした。

 

合格最低点で滑り込んだクラスでしたが、卒業時にはほぼトップで卒業している

ので、その努力もただならぬものだったと思います。

 

大学や大学院では答えがないものを研究していると思いますが、彼ならきっとすごい

ことを発見してくれるのではと秘かに期待をしている今日この頃です。