子どものやる気を引き出す 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」
☆自信のない子ども!☆
◇親が子どもを日常的に叱っていると、子どもは自分に自信が持てなくなります。そうすると、親の顔色を見ながらなんでもやるようになり、失敗を恐れ、何事に対しても臆病になっていくものです。そんな子どもを私は、随分と沢山見てきました。
◇先日もあるスーパーでこんな会話をしている親子を見つけました。その時の子どもも、自分に自信のない子どものように見えました。
お母さん:「何が欲しいか言ってみなさい。」
子ども :「え~…。何がいいかな?」
お母さん:「これはどう?これがA君には良いと思うわよ!」
子ども :「え~…。お母さんがいいって言うなら、それでいいよ。」
お母さん:「あなたが選ぶのよ。あなたの欲しいのは、どれよ!」
子ども :「だから、これでいいよ。」
お母さん:「これで本当にいいのね!あとでブツブツ言わないでよ!」
子ども :「…。いいよ。」
◇このお母さんと子どものやり取りを見ていて気付いたことは、お母さんは子どもに選ばせようとしているようで、結局は、お母さんの意向を押し付けているだけだということです。
◇子どもは、お母さんの顔色を見ながら必死に自分の欲しいものを探そうとしていますが、お母さんの迫力に負けてしまって、結局お母さんの言うとおりにしてしまいました。もう少し踏ん張れば、自分の気持ちを彼は言えたのに、とうとうお母さんに負けてしまったのです。
◇私が心配するのは、お母さんの無自覚さです。お母さんは、子どもに選ばせたように思っていますが、本当はお母さんが何でも決めているのです。きっと、この親子は、子どもがもじもじして、大体がお母さんが決めて、一件落着になっているはずです。
◇これでは、子どもの自主性は育ちません。こういう局面が読者の皆さんにもないか、ぜひ、振り返ってみてください。子どもの全てを何でもかんでも決めてしまう親であってはいけません。子どもの気持ちを引き出して、子ども自身が選べるような状況を考えてみてください。
『子どもの気持ちを引き出すような環境を作りましょう!』
☆子どもの反抗的な態度から考える!☆
◇随分前の話になりますが、小6と中2の兄弟のお母さんから相談がありました。そのお母さんがいうことには、子ども達はお母さんの言うことも聞かないし、叱ってもぶつぶつ生意気なことを言って反撃するらしいのです。「どうしたら、私の注意を聞いてくれるようになるのですか?」という相談でした。
◇そのお母さんの話を聴いて一番感じたことは、お母さんが、子どもの言動に何でも反応してしまって、そのたびにストレスになってしまうということです。悪循環になっているのです。
私 :お子さんに対して、何が一番腹が立ちますか。
お母さん:そうですね。言うことを聞かないことです。
私 :言うことを聞かないというのは、どういうことですか。叱っても効果がないということなのか、ルールを守らないということなのか。
私 :両方です。ルールを守らない時は、しっかりと注意をするのですが、全く聞く耳を持たずと言う感じです。そのうち、こちらも頭に来て、叱ると言い訳をして誤魔化そうとし、そんなことは許せないので、ちゃんとするまで言い続けるのですが、ぶつぶつ言いながら、やっとどうにかこうにか、言うことを聞くのです。
私 :お母さん。それは、お母さんとお子さんが、主導権争いをしているのです。お子さんの目的を理解して対応していくようにすると良いのです。反応するのではなく。
お母さん:どういうことですか。彼らは、ただ遊びたいだけだと思うんですが。
私 :そうなんですよ。彼らは、遊びたいだけなんですよ。でも、ルールを守らないのは、お母さんの言うことを聞きたくないからなんですよ。だから、そういう時は、お母さんが自然と反応するのではなくて、対応しなくてはらないのです。まず、冷静な時に、ルールの確認をし、そのルールを守る約束をして、もし、その約束を破ったら、ルール破りの対処は、こうすると決めることです。その際に、なぜルールを守らなくてはらないのか、しっかり話し合ってください。
◇子どもが言うことを聞かない時、その目的は、アドラー心理学的に言えば「主導権争い」をお母さんとやっているということです。そういう時は、まず誰の問題なのかをお母さんが考えてみることです。ルールを守らないで不愉快な思いをお母さんがするなら、お母さんの問題ですし、ルールを守らないと子どもに不利益があるなら子どもの問題です。このことをルールを無視した時に確認することです。
◇そして、子どもの問題だとすれば、無視をしてもいいですし、Iメッセージを使って、お母さん自身の気持ちを伝えてもいいかもしれません。反応には、反応しか返ってこないものです。お母さんは、反抗期を迎えた子どもの行動を誰の問題かを考えながら、少し子どもから距離をとって考えてみてください。そういうアドバイスをしました。
『誰の問題かを考えてみよう!』
☆子ども本人の時系列で成長を認める!☆
◇私たちは、誰でも他人と比較されることを嫌います。子どもも同じで、特に、誰誰よりダメと言われるのが、一番傷つきます。つまり、子育てでは、他者比較はしないほうが良いのです。
◇それでは、どうするか。
叱咤激励をする際に、他者比較ではなく子どもにどうやって実感してもらえばよいのか。それは、子どもの時系列を振り返って本人の過去と今と未来について語ってみることです。叱咤激励ではこの時系列で子どもの成長を比較するのが、有効なことだと思います。
◇出来たこと、出来なかったことを、本人の過去と今を比べてみることです。そうすると、子どもの自信につながっていくと思います。そして、もう少し大きくなったら、こんなことも出来るようになるんだよと教えてあげるのです。子ども自身が、自分の成長を確認できますし、将来の成長に関してもイメージがしやすくなるというものです。
お母さん:昔のA君は、ここまではできなかったわ。
A君 :え?そうかな?
お母さん:そうよ。2年前には、まだできなかったと思うわよ。
A君 :だって、この程度なら簡単だもん。
お母さん:A君が成長したら簡単に出来るのよ。自分じゃわからないかもしれないけど、人間って徐々に成長していって、出来ないことが何でも出来るようになっていくのよ。A君も成長の途中だから、どんどん出来ることが増えていくわよ。
A君 :そうかな。まだまだ出来ないことが多いけど。
お母さん:今は出来ないけど、A君は、もう少ししたら、こんなことも簡単に出来るようになるわよ。そして、多分、こんなことも考えられるようになると思うわ。凄いと思わない?!
A君 :もし、出来たら凄いね。
お母さん:大丈夫!絶対出来るから。
◇こんな会話で、子どものセルフ・エスティームは、高まるものです。子ども自身の時系列での能力比較をすることで、子どもの今を承認してあげましょう!それが、やる気を引き出すことに繋がるのですから。
『昨日の子どもを基準にして今日の子どもの成長を評価しよう!』
☆子どものやる気の背中を押す!☆
◇子どもが、自主的に勉強をする時があります。それは、子どもがその科目を好きになった場合や、その科目が出来そうだとか、分かりそうだとか実感した時です。そういう時に子どもは自主的に勉強をしだします。
◇そろそろ、学校の成績が返ってくる頃だと思いますが、その成績を使って、子どものやる気の背中を押してみてはどうでしょうか。
お母さん:3学期(後期)の成績は、どうだったの?
A 君 :え~?・・・・。
お母さん:見せてみなさいよ。あなたの努力の結果なんだから。
A 君 :え~。大した変化はないよ
お母さん:体育頑張ったじゃない!
A 君 :まあね。バスケだったからね。
お母さん:好きなものは、やっぱり上手いんだ!流石じゃない!
A 君 :そんなことないよ。バスケ部の奴らのほうが全然上手いよ。
お母さん:お母さんは、別に他人と比べてるわけじゃないのよ。あなたが、好きなことで活躍すればいいのよ。他に社会も頑張ったじゃない!
A 君 :まあね。
お母さん:テスト前に頑張れば、やっぱり先生も認めてくれるのよね。
A 君 :たまたまだよ。山が当たったんだ!
お母さん:やれば出来るのよ。何で社会頑張ったの?何か理由があったの?
A 君 :別に。ただその時は、興味のあるところがテストに出たんだよ。
お母さん:じゃあ、英語は、あなたはどう思っているの?
A 君 :え~。どういうこと?英語は、嫌いだよ。
お母さん:なんで、嫌いなのよ?
A 君 :面倒くさいから。
お母さん:でも、英語がしゃべれたら、かっこいいのに。
A 君 :そうだけどさ。単語が分からないし。
お母さん:そうね。お母さんも単語が全然ダメ。でも好きな英語の歌の歌詞を訳してみたら、案外、習ってた単語が一杯あったから、すぐに訳せた。それからよ、お母さんが英語を少し好きになったのは。あなたも、この春に英語の歌でも聴いてみたら。
◇こんな会話でもいいので、子ども達のやる気を刺激してみてください。得意なこと、好きなことに焦点を合わせて、会話をしてみてください。子どもだけのことを聞くのではなく、自分のこともしゃべりながら、ぜひ、子どもと会話をしてほしいのです。
何気ない会話が、子どものやる気の背中を押してくれるかもしれないのですから。
『子どものやる気の背中を押す!』