2015年09月16日

子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

☆ 質問のススメ ☆  
質問は、相手への関心を示します。関心のない人には質問しないものです。そして、質問は一般的に会話を盛り上げます。ですから、子どもに対しても質問することをお勧めします。
「でも、子どもに質問しても、なかなか答えてくれない」と感じていらっしゃる保護者の方も少なくないのではないでしょうか。
親:「今日、学校でどんなことがあったの?」
子:「別に・・・」
親:「『別に』ってことはないでしょう」
子:「・・・」
親:「やんなっちゃうわね」
こんな感じでしょうか。私も時々そんな気持ちになります。しかし、気持ちよく、応えてくれることもあります。

 

親:「今日の試合どうだった」
子:「勝ったよ!」
親:「それは、よかったじゃない」
子:「勝ったのは良かったんだけね・・・」
親:「勝ったのは良かったんだけど・・・何があったの?」
子:「試合が終わった後のミーティングの集合が遅いって、〇〇先生が怒るんだよ。俺たちは、一生懸命片づけしてから集まったのに、 『そんな態度なら練習なんかするな!』とか言うんだよ!」
親:「みんながダラダラしていたから、先生怒ったんじゃないの?」
子:「ダラダラなんかしてなかったよ!一生懸命やってたのに怒られたよ。全く頭にくるよ!」
親:「そうだったんだ。折角、試合にも勝って、頑張って片づけしたのに、それは頭に来ちゃうね。事情は、先生に話したの?」
子:「言えるわけないじゃん!」
親:「それもそうね。何か先生から見て、気に入らないところがあったのかもね。ところで、そんなに頭に来ているなら夕飯は食べれないかな?」
子:「何それ。食べるに決まってるじゃん」
親:「それじゃあ、勝利を祝って夕飯にしましょう!」
子:「うん」

 
二つの会話の中の質問には微妙な違いがあります。親の聞きたいことを質問しているか、否か。子どもが話したいことを引き出すように質問しているか、否かです。

 
後半は、部活の試合に夢中になっている子どもを理解した上で、投げかけた質問なので、子どもは、答えやすいのです。いいえ、寧ろ子どもが話したかったことを質問したのです。
前半の会話の質問は、子どもによっては、普段の学校のことなんか親に話すことを好まないものです。学校の様子を質問することが悪いということではありません。話したくないことを質問しても答えないこともあるということです。
親の関心のあることを質問するのも良いですが、質問に応えてくれる子どもを願うのであれば、子どもの関心ごとを質問してみてください。
「うちの子こんなに話してくれるんだ」と新たな発見があるかもしれません。

 

☆ 子どものやる気を高めるのは難しくない? ☆ 

 

いよいよ、子どもたちの学校が再開しました。子ども達が皆、元気に登校されていることを願っています。
先日、一足早く学校がスタートした我が子に、「みんな元気に学校へ来たかい?」と聞くと「うん!」と応えるので、「それは良かった」と伝えました。

 

さて、この夏休み期間中、私は、神奈川県内を主に教育委員会、学校主催の研修の講師として8か所で、学校の先生方に話をさせていただく機会がありました。凡そ、児童・生徒のやる気を高めるための接し方がテーマでした。

 

そこで、出会ったある校長先生が私の話をきっかけに、ご自分のご経験を踏まえ、「子どものやる気を高めるのは、そんなに難しくないんじゃないかと思う」という話をされました。

 

以前、一教師であった校長先生は、トイレ掃除の生徒を見守る担当をされている時に、「『ここのトイレは、いつもきれいで気持ちがいい』と校長先生が言っていたよ!」と生徒に話したそうです。それを聞いた生徒たちは、いつも以上に、夢中でトイレ掃除にとりかかかり、雑巾で便器や床を磨いていたそうです。

 
「子どもは、他者から認められたい思っている。だから、彼らが望むように、彼らがやっていることを認めさえすれば、子ども達は進んで取り組んでくれるようになるんじゃないかと思う」とも話して下さいました。
このお話には、二つのポイントがあって、子ども達が既にやっていることを認めるという点が一つ、そして、子ども達がやっていることが、他者に喜んでもらえることだと意味づけをするという点が二つ目です。

 

とかく、家の子はやる気がないとおっしゃる保護者の方は、子どもの興味のないこと、まだ手をつけてないことをやるように仕向けて、嘆いている方が多いのではないでしょうか。

 

まずは、子どもが興味を持ってやっていること、手をつけていることに注目してみてはいかがでしょうか。やがて、一般論で子どもがやる気がないとは思えなくなります。

 

今ないものを新たに動機づけようとすることとやる気にさせることは、難しいと感じることになるでしょう。保護者がないものねだりを棚上げする姿勢が子どものやる気を促進する第一歩なのです。

 

そして、次に、子どもが既に手をつけていることが保護者やその他の人に役立っているということを伝えて、子ども達がやっていることに意味づけをすることが大切です。

 

大人もそうですが、特に子どもの場合、自分の為より他者に喜んでもらえる行為にやる気が湧くのです。自分の為なら、夏休みの宿題のように、先送りすることもできるほど、価値のないものと感じる子どもも多いのです。

 

私が学んでいる個人心理学を唱えたアドラーは、母親の責務を、子ど
もの関心を母親から父親へ、そして他者に向けさせることだと言っています。広く他者に関心を向けさせなければ、甘えが生まれ、甘えで欲求が満たされれば、やる気は生まれないのです。他者への関心を高めるには、他者が子どもに関心を示していることを伝えることが大切なのです。

 

他者に関心を持ち、自分の能力を最大限に活かそうとする子どもたちこそ、これからの社会で必要とされる人間だと私は感じています。まずは、各ご家庭のアプローチが重要です。

 

☆ 子どもに関わらないアプローチ ☆

 

子どもの現状の行動や態度について、親は様々な結果を予測して、その予測する結果が期待するものでなければ、励ましたり、叱ったり、おだてたりしながら、良い結果を生みだしそうな行動を起こさせようとするものです。

 
しかし、大抵は功を奏しません。親は子どもより経験値が高いので、ある程度の予測がつきますが、子どもは、親ほど予測が立ちませんから、なかなか危機感も生まれてこないのは仕方ありません。

 
それでは、どうやって期待する結果を導き出せる行動を起こさせたらよいのでしょうか。

 
一つの方法に、アドラー心理学が提唱する「自然の結末」というアプローチがあります。

 
これは、体験から学ばせるという前提に立ち、当面の課題の成功を保証するものではなく、子どもに、「どんな場面で、どんな行動を取るとどんな結果になるのか」を体験させるというものです。子どもが結果を「良し」としなければ、子どもは自ら次回からの行動を改めるという考え方に立っています。

 
例を挙げれば、雨が降りそうな日に、傘を持って出かけない子どもが雨に濡れるという体験のさせ方です。朝、一度くらい 「雨が降りそうだから傘を持っていきなさい」という程度はいいのですが、決して傘を届けたり、迎えに行ったりしません。

 
もし、雨に打たれて、「こんなことは懲り懲りだ」と思えば、常に天気予報を確認するように注意を払うかもしれませんし、親の忠告を一回できくようになるでしょう。

 
このように、親の関わりを極端に減らすという不思議なアプローチです。親の関わりが減れば、子どもが体験する結果の原因をもう親のせいにはできません。子ども自身が引き受けるしかないのです。

 
このようなアプローチは、子どもが自分のことは自分で管理しなければならないことを学ぶ機会になります。

 
ところが、これでは親は必要ではなくなると反論される方もいらっしゃるかもしれません。確かに、野生生活をさせているわけではないのですから、ジャングルに子どもを置き去りにするようなことに抵抗があります。

 
一つの教訓として、普段、親が子どものことに関わり過ぎて、親子関係を壊したり、子どもの自律を損なったり、親が必要以上に子どものことで忙しくなっている現状に警鐘を鳴らしていると考えるのもよいでしょう。

 
そして、現実的な親のアプローチとしては、最初に一度だけ「傘を持っていきなさい。雨降りそうよ!」と言ってあげること、しかし、子どもがその言葉を振り払って出て行くなら放っておく。

 
そして、濡れて帰って来たら、「雨に降られて残念だったわね(共感)」と言葉をかけて、濡れた服や体を拭くタオルなどをさりげなく用意してあげるのもいいでしょう。

 
さらに、「今日の体験をどう感じた?」、「今後はどうする?」なんてゆったりと言葉を投げかけてあげると、子どもは自分の行動を振り返り、体験からの学びが深まるかもしれませんね。

 
ここでのポイントは、「だから、『傘を持っていきなさい!』といったでしょ!!」とは言わないことです。これによって、子どもの意識は親への反論に向い、体験で学ぶ機会を失い兼ねないからです。

 
自然の体験は、何も夏休みだけではなく、普段の生活でも、可能なのです。

 
でも、このやり方は、「ちょっと・・・」という方のために、またいつか、体験から学ばせる方法をご紹介したいと思います。