子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆当たり前に出来ていることを認める!☆
◇先日1000人前後の保護者の方に「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」と題して、1時間半の講演を行いましたが、今回のテーマは、その時に話した一部を書きたいと思います。「子どもの当たり前に出来ていることを認める」です。
◇私たち親は、子どもを立派にしたいから、ついつい出来ていないところや駄目なところを注意してしまいますが、この注意が頻繁に行われると、子どものセルフ・エスティーム(重要な他人から自分のことを重要だと思ってもらえている実感)はどんどん下がってしまいます。
そうなると、出来ていないことや駄目なところは、改善するどころか、どんどん悪くなってしまう傾向があるのです。
◇子どもが、自分の出来ていないところを改善するためには、子どもがその出来ていないところを自分で気が付いて、どうにかしたいと思うことが重要なことです。そういう感情が湧かないと、いくら他人から注意をされても、なかなか改善しないものです。ましてや、親が一方的に子どもの出来ていない点を注意しても、子どもはそれを到底聞き入れてくれるものではありません。
◇ですから、それよりは、子どもの出来ているところを承認した方がよいのです。その方が、子どものセルフ・エスティームが向上するので、子どもは自分の出来ていないことにも、意識が向きやすくなるのです。
◇子どもは、セルフ・エスティームが高くなると、自分の出来ていない点や駄目な点を受け止められるようになります。そうなれば、自分でその出来ていない点や駄目な点を改善しようと動き出すようになります。その時に、親が子どもの改善行動を関心をもって見てあげることなのです。この方が、断然有効です。その時が来るまで、親は子どもの出来ていることを承認し続けることです。それも気長に。
◇たとえば、出来ていることを承認するとは、こういうことです。
お母さん:おはよう!
A君 :・・・。
お母さん:おはよう!!
A君 :おはよう・・。
お母さん:A君の挨拶でお母さんも元気になったわ!ありがとう!
◇挨拶をしないことに注目しないで、出来たことに注目して、そのことに言及していくことです。ぜひ、子どもの出来ていること・当たり前にやっていることに注目し、そのことを承認してください。これこ
そ、子どもに対する存在承認なのです。
『子どもの当たり前に出来ていることを承認しよう!』
☆ 受験生のケア! ☆
◇先月、受験生の心理的なケアについてお母さんやお父さんに講演をしました。キーワードは「不安」。その時の内容を今回は一部だけですが書きたいと思います。
◇子どもは受験が近くなればなるほど、どんどん不安が高まります。そして、その不安から、何をしたらいいのか分からなくなります。しかし、そんな子どもの状態を見ていると、親御さんはついつい「何やってんの!受験が近いのに!」なんて言ってしまいがちになるものです。
◇しかしここは親御さんが子どもの不安に共感を示してほしいのです。「お母さんやお父さんはあなたの不安を理解していますよ。あなたが不安に思うのは受験生として当然のことですよ」という気持ちをもって、子どもにメッセージを送ってほしいのです。
◇次に、その不安に負けないように、子どもが活躍した時のことや頑張っていた時のことを子どもに振り返ってもらうことです。
「A君、この夏の試合頑張っていたけど、あの大変な時、A君はどんな
感じがした?」
「Bちゃん、夏休み、あんなに勉強頑張ってたけど、やってみてどんな
感じがした?」
など、子どもが何かに真剣に取り組んでいた時や、頑張っていた時のこ
とを思い出させて、大変なことも、これまで自分は乗り越えられたんだ
と実感してもらうのです。この実感が不安と向き合う力になります。
◇最後に、高校入学後のことを想像してもらうことです。社会人になっ
て何がやりたいのか、大人になって何がやりたいのか、という目標を持
ってもらうことです。
「A君、高校に入学したら何が一番やってみたいの?」
「Bちゃん、高校卒業したら、どうしたい?」
「C君何しているときが一番楽しい?その楽しいことを高校に入ってもやりたい?」
「Dちゃん、大人になってもやっていたいことは何?」
このような質問をしながら、高校入学後のことを想像してもらうのです。
目標が高校受験以降の将来にあるという意識が受験生を強くします。
◇不安は、何か得体の知れないものです。ですから、不安の解消には具
体的な行動の指示が必要なのです。今回は心理的な部分を紹介しました
が、勉強についての具体的なことであれば、学校の先生や塾の先生にアドバイスをしてもらうことです。「勉強しなさい!」と思ってそれを言葉に出しても、皆さんが望む結果にはなかなかなりません。それよりは、じっと我慢して子どもを見守ってほしいのです。ガミガミ言えば言うほど、受験生の不安はどんどん大きくなっていくものです。保護者の皆さんの我慢も受験生ケアにとっては重要なことなのです。
『家族の雰囲気を考えよう!』
☆ 受験生のケア2! ☆
◇前回に引き続き受験生のケアに関することを取り上げたいと思います。それは、入試が迫って来れば来るほど、新しい問題はやらないということです。今までやった問題集や教科書をもう一度解き直すことを徹底すること、ここがポイントです。これは、何も受験生だけのことではありませんが、知っているという実感を増やして、やる気を引き出すという効果を狙ってそうするのです。
◇特に、受験生は、入試が迫って来れば来るほど、不安が大きくなりま
す。受験生は、「もしかすると不合格になるかもしれない」という心理
になって、何をやっていいのか分からなくなるものです。そういう時に、1回やった問題集や教科書をもう一度やり直して、知っている問題に触れるのです。「この問題、やったことがある!」「この問題が出来た!」
こういう実感を与えることです。そうすれば、徐々に不安は小さくなっ
て、「案外、僕は(私は)出来る!」と思えるようになるのです。
お母さん:最近、勉強に手がつかないみたいね。
A君:別に。
お母さん:入試がもう直ぐだから、不安なのかな?
A君:別に。
お母さん:大丈夫よ。入試は今までやったことしか出ないんだから。
A君:だから、困ってるんだよ。今まで真面目じゃなかったんだから。
お母さん:あら?そうなんだ!
A君:新しい問題集でも買ってよ。
お母さん:何言ってんの!今までの問題集をもう一度やった方がいいじゃないの?
A君:古いのは、どうもね。少しやってあるしね。新しいのじゃなきゃ、やる気にならないよ。
お母さん:こういうの知ってる?入試に合格する人は、同じ問題集を3回やる人で、新しい問題集を何冊もやる人ではないって。
A君:急に今、お母さんが作ったでしょ!
お母さん:兎に角、今ある問題集をやってみなさいよ。3回とは言わないから。そうしたら、新しいのを買うかどうか考えましょ。
◇同じ問題集を3回やれば、それだけ解法の定着になります。解ける問題と解けない問題も何回もやってみることです。そのうち出来ない問題が何題か出来るようになり、できる実感が増します。そうなったら自信に繋がるのです。老婆心ながら、高校受験生は、入試の過去問も遅くとも12月から始めて、2回は解いた方が良いと思います。
『できる実感を数多くして、不安を解消する!』