2017年02月24日

子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

☆主導権争いから一歩身を引く☆

 

◇正義感の強いお母さんは、子どもに対しても正義を通そうとする傾向が強いようです。子どもは小さな大人だとは言っても、それほど言語活動が発達しているわけではないですから、お母さんのロジックに勝てるわけがありません。色々抵抗はしていても、結局のところは、口でやり込められてしまうことが多いのではないでしょうか。

 

◇往々にして、正義感の強いお母さんは、子どもに敗北感を負わせながら、子育てをしているようなところがあります。これは傍から見ていると、お母さんと子どもの主導権争いそのものなのですが、お母さんは、それにどういうわけかなかなか気が付かないのです。子どもと主導権争いをしても、何もならないのですから、自分を冷静に見るべきなのですが、それがなかなか難しいようです。

 

◇こんな会話が行なわれて、お母さんが不愉快になりそうだったら、自ら身を引いて欲しいのです。それは、主導権争いを子どもとやっている可能性が強いからです。

 

A君 :ただいま!今から遊びに行ってくるよ!

お母さん:学校の宿題はないの?

A君 :後でやるから平気だよ!

お母さん:いつもそんなこと言って、やったためしがないじゃない!宿題をやってから遊びに行きなさいよ!

A君 :えっ!?ダメだよ。友だちが待っているから。

お母さん:どこで待っているのよ。そんなこと言ってもダメよ。今日は、宿題をやらないで遊びに行くことは許しませんからね。

A君 :ふざけるなよ!何で?後で宿題やるって言ってんじゃん!

お母さん:何がふざけるなよ!?そんな言葉使いして!自分の都合が悪くなるといつもふざけるなって!そういうことで良いわけないでしょ!

 

◇こんな会話が繰り広げられたら、これは宿題をやらせたいお母さんとすぐに遊びに行きたい子どもの力関係の争いになっているのです。無理やり宿題をやらせたところで結果は知れています。勉強にならないはずです。だとすれば、裏切られる約束かもしれませんが、遊びに行った後で宿題をすることを約束させ、その約束を子どもがどう実行するのかで、話し合いを持ってみてはどうでしょう。言い争いの最中にシロクロ決着をつける必要はないのです。子どもを言い負かしても良いことはありません。親が大人になることです。主導権争いから一歩身を引いてみてください。

 

 

☆見て見ぬ振りをしてみよう☆

 

◇街を歩いていると、お母さんが子どもを叱っている場面に出くわすことがあります。あるお母さんは子どもを道の端に寄せて諭すように叱っていたりします。また、あるお母さんは子どもを叱りつけて、自分は、すたこらさっさとばかり、泣いている子どもを置いてきぼりにして、子どもがついてこないとさらに遠くから怒鳴っていたりします。

 

◇私などは後者の叱り方で育てられたので、別段その叱り方がひどいとは思いませんが、置いてきぼりの子どもが歩み寄った時に、お母さんがどう優しい言葉をかけるのかは、ちょっと気になります。思いっきり叱った後は、優しい言葉をかけて欲しいものです。お母さんは僕を、私を嫌いじゃないんだって、子どもがわかるように。

 

◇ところで、叱るには原因があるはずですが、たまにはお母さんが見て見ぬ振りをしてあげることを今回はお願いしたいと思います。何から何まで、子どもの失敗や悪さを注意し、叱るのは、子どもの心の成長にとってマイナスになる可能性が大きいのです。子どもが失敗を恐れるようになりますし、お母さんの愛情が子どもに伝わりにくくなってしまうのです。そして、子ども自身のセルフ・エステームがどんどん下がってしまいます。

 

◇ですから、何から何までお母さんが目を光らせて注意しないで、自然に任せることを考えてみてください。全部とは言いませんが、ちょっと最近叱りすぎだなと思ったら、ぐっと我慢して後でさりげなく、お母さんは知っているのよ、という感じで、伝えてみて欲しいのです。こんな風に。

 

お母さん:A君、最近頑張っているわね。

A君 :なにが?

お母さん:昨日なんか、早く宿題を済ませてたじゃない。

A君 :まあね。早く遊びに行きたかったから。

お母さん:凄いじゃない。宿題を済ませてから遊ぶって約束、ちゃんと守っているんだから。

A君 :そうしないと、お母さんが怒るだろ?だからさ。

お母さん:それでも、凄いと思うわ。A君は、約束を守れるようになったのね。宿題が出来るようになった。次は、この前のように弟のB君をいじめないようにするのね。

 

◇A君に悪いという意識があれば、A君は、悪いことをしたことをしっかり覚えているはずですから、さりげなく注意しても効くはずです。いつも叱りすぎているお母さんは、さりげなく注意してみるのも一つの手だと思います。見て見ぬ振りをする努力をお母さんは、たまにはしてみてはいかがでしょうか。

 

 

☆積極的に人の話を聴く!☆

 

◇前回は、親が子どもをおおらかに見ていくために、見て見ぬふりをしようということを書きました。今回は、子どもとの向き合い方の基本を書いてみたいと思います。積極的に人の話を聴くということについて書きたいと思います。

 

◇私たちの日常は非常に忙しいものです。ですから、子どもの話を「ながら族」で聞いてしまう場合が多いのではないでしょうか。子どもは、自分が話したい時に突然話し出すところがありますから、こちらとしても、何かの途中で話を聞くことになってしまいがちです。

 

◇子どもの様子が、ちょっと気になる時などは、どのお母さんも子どもの話を聞こうと思うはずです。そういう時に、どういう聞き方が良いのか考えてみます。まず注意事項を挙げます。

 

1.子どもの顔を見ながら話を聴く。

子どもに集中して話を聴くようにします。頭で違うことを考えていると、相手は話を聞いていないのかと不安になるものです。ですから、しっかり話に集中しましょう。

 

2.子どもの話を途中でさえぎらない。

お母さんは、子どもの話をさえぎって、自分の意見を言ったり、子どもに教えたり、注意したりすることがあります。「それは、あなたが悪いのよ!」とか、「もっとA君と仲良くしなくては駄目よ!」などなど。子どもの話を聞こうとするならば、最後まで話を聴いてほしいのです。

 

3.子どもの感情的な言葉や表現から、子どもの感情を理解しようとして聴く。

 

子どもの表現の奥にある、子どもの真意を聴き取ろうと意識を集中してください。

 

4.子どもの話すペースで相づちをうったり、うなづいたりする。

 

お母さんが、自分の話を聴いてくれていると子どもに伝えるための動作です。

 

5.子どもの感情を子どもに投げ返しながら聴く。

 

「悲しかったのね」とか「うれしかったのよね」などなど、子どもの感情を類推して、投げかけることで、子どもは、自分の感情を相手が受容してくれていると実感するものです。

 

◇私たち大人は、子どもは小さいから何も知らないのだと思いがちですが、そうではありません。子どもには子どもなりの考えがあり、子どもながらに自尊の感情もあります。子どもを自律的な大人に育てたければ、子ども自身でいろいろなことを決定させることです。

 

◇そのために、子どもの心の底にある本当の気持ちを引き出すように、子どもの話を聴くことが重要なのです。人間は、自分の感情を他人に言うことで落ち着くものです。そして、冷静に判断するものです。子どもの気持ちの自覚化を促す聴き方こそ、積極的に子どもの気持ちを聴くという聴き方だと思います。

 

 

◇何か子どもが、感情的になっていたら、この積極的な聴き方を試して欲しいのです。根気強く、子どもの本当の気持ちを、子どもの話の中から聴き取って、子どもを理解していくようにしたいものです。親が子どもを理解し出すと、子どもは、安心して色々なことに取り組めるようになるはずです。