子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆ 暗黙の理想を捨てて子どもを見よう! ☆
◇読者の皆さんは、お子さんにどんな期待を持っていますか。たとえば、テストの点数は、何点とってほしいと思っていますか。また、中間テストや期末テストの1週間前に、どのくらい家で勉強してほしいと思っていますか。そういう期待感を、私は「暗黙の理想」と言っています。
◇幼稚園や保育園を経て、小学生になると、明らかに授業の中でテストが増えてきます。算数や国語は、多少は出来てほしい!と思うのが親心ですが、具体的には、平均点以上の得点は少なくとも取ってほしいし、出来れば100点とは言わなくても80点は取ってほしいと密かに思っていたりします。それが、親心と言うものです。
◇そういう期待感を私は、「暗黙の理想」と言うことにしているのですが、その「暗黙の理想」が強ければ強いほど、子どもの結果をその「暗黙の理想」から評価しがちになるものです。そうなると、なかなか子どもの結果をプラスに受け止めることができないようになります。それは、評価の基準と実際の子どもの行動の結果がかけ離れたものになっていくからです。
◇例えば、中学生や高校生の定期テスト(中間テストや期末テスト)の勉強時間を考えてみましょう。
◇定期テスト1週間前に、どのくらい子どもに自宅で勉強してほしいでしょうか。私が、保護者の方に講演する中で調査した結果、一番勉強してほしいと思っている時間数は、平均で3時間でした。
◇ある会場では、4時間が多かったり、海外で講演したときは、5時間が多かったりしましたが、平均を取っていくと、3時間が一番勉強してほしい時間と言うことになりました。
◇しかし、この3時間は、全く論拠のないものです。3時間勉強したからといって、絶対にテストでいい点が取れるというものではありません。
保護者の方は、ただ3時間ぐらいやってほしいと思っているだけなのです。このぐらいやれば、きっとテストも出来るだろうと思っているのです。こういう思いが、「暗黙の理想」です。
◇定期テスト前に自宅で3時間勉強してほしいと親が思っていると、この3時間が子どもを評価する基準になってしまうのです。
◇ですから、普段は家庭学習など全くしない子どもが、テスト前に30分勉強したとすると、本来ならば、頑張って勉強したから、認められてしかるべきところを、3時間(=180分)と言う「暗黙の理想」でその30分を評価してしまうので、まだまだやっていない、全然やったことにはならない、そういう評価になって、子どもにマイナスのアプローチをしてしまいがちになります。子どものプロセス承認が出来なくなってしまうのです。
◇「暗黙の理想」を無意識の内に持って、子どもを見ていくと、子どもの努力をプラスで評価することが出来なくなってしまうのです。
◇子どもの努力を評価する時の鉄則は、子どもの現状を基準にして評価するということです。「昨日の子ども」を基準に「今日の子ども」を評価するということです。
◇普段は全然やらない家庭学習をテスト前に、30分もやったのであれば、プラスの評価になるはずです。子どもの努力を承認してもいいはずです。「暗黙の理想」を基準にするから子どもの努力を素直に評価できないようになってしまうのです。
◇「暗黙の理想」には、何の論拠もない場合が多いものです。ですから、子どものやる気を引き出そうと思うのであれば、「暗黙の理想」をちょっと端において、子どもの現状から子どもの努力や行動を評価していくようにしてください。
◇「昨日の子ども」より「今日の子ども」が成長していたら、プラスの評価を、マイナスになっていたら、マイナスの評価をすれば良いのです。
『暗黙の理想を捨てて子どもを見よう!』
☆ プロセスを大切にする! ☆
◇社会では、「結果が全てだ」と言われますが、子育てでは、一概にそうではありません。子育てで重要なことは、子どものプロセスに関心を示して、努力すること、真剣に取り組むことの大切さを教えることです。子育てでは、結果よりもプロセスを教えることが重要なことなのです。
◇親が、結果にばかり関心を示してそれを重要視すると、子どもは親の期待に応えようとして、何が何でも結果を出そうとします。特に、親の期待を感じている子どもは、時には、不正を犯してでも結果を出そうとします。学習塾で、合格判定模試のようなテストでカンニングしてしまう生徒がいるのは、大概は、親の期待に無理に応えようとしてしまうからです。結果もそれなりに大切ですが、それよりは、その結果を出すプロセスを大切にすることなのです。親が、プロセスに関心を示して、子どもの成長を促すならば、子どもは、プロセスをしっかり実行して、帳尻を合わせるようなことはしなくなるものです。つまり、不正をしてまで、良い結果を出そうとは思わなくなるものです。
お母さん:A君、中間テストの結果はどうだった?
A君 :え~?別に。
お母さん:どうだったの?
A君 :別に。普通だよ。
お母さん:A君!テストの結果が問題じゃないのよ。だから、良くても悪くてもはっきり言わなきゃ。結果よりも知りたいのは、その結果を出すために、どういうことをしたのかってことよ。お母さんが知りたいのは。
A君 :え~・・・。わかんないよ。何でそんなこと聞くの。
お母さん:この2週間ぐらい、A君は、随分と頑張っているなって、お母さん思っていたのよ。だから、その頑張りが、どういう結果だったのか知りたいのよ。
A君 :ちょっと頑張ったけど…いつもとそんなに変わらなかったよ。
お母さん:A君は、この結果にちょっとショックを受けているの?
A君 :え~?・・・・。
お母さん:今回、結果がA君の思うような結果でなくても、A君の2週間の努力は、無駄になっていないと思うわ。
A君 :結果が出てないんだから、無駄だったんだよ。
お母さん:A君、そんなことはないと思うわ。結果が出ても出なくても、努力したってことが重要なことなの。今回は、たまたま結果が出なかっただけよ。でも、努力することができたと言うことは、次にも努力は、出来るということでしょ。そっちのほうが大切なの。
A君 :そうかな?
◇こんな会話を積み重ねることです。子どもは、結果に囚われていることが多いものです。ですから、結果よりもプロセスが、重要なことを会話の中で意識的に伝えることです。プロセスを大切にする子どもでいて欲しいのです。将来、良い結果が出るように、良い原因を作ってくれるようになるはずです。
『良い結果は良い原因(=プロセス)から!』
☆秘密の共有がラポールを高める☆
◇このメルマガで、子育ては、コミュニケーションだということを毎回のように書いていますが、今回は、コミュニケーションの中でも非公式的なコミュニケーションについて書きたいと思います。
◇随分前に、講演会の質問コーナーで、あるお母さんから、「最近うちの娘が、お父さんの話をうざいって言うんですが、そういう時、私はどう答えたらよいのですか」という質問がありました。私は、「もし、お母さんも、お父さんの話がちょっとうざいと感じたら、そっと、『お母さんもそう思うわ。』と言ってあげていいですよ」とお答えしました。会場は大笑いになりましたが、コミュニケーションは、建前だけで子どもと臨むことはないのです。ということで、今回は、非公式的な本音のコミュニケーションついて、内緒話をについて考えてみたいと思います。
お母さん:お父さんには内緒にしておくからAちゃんの好きな男の子教えて?
Aちゃん:え~?いないよ!
お母さん:あ~そうなの。お母さんはてっきりB君だと思ったんだけど。
Aちゃん:何で分かったの!?
お母さん:やっぱりB君だったの。B君のどんなとこが好きなのよ?
Aちゃん:そんなの恥ずかしい!・・・・
◇お子さんと秘密の共有をどのくらい行なっていますか。
◇子育てで大切なことは、子どもが親に受け入れられていると実感を持ってもらうことです。そうしないと子どもの精神状態が不安定になって、何事もやる気にはならなくなってしまいます。また、親としても子どもからどのくらい受け入れられているのか、確認することが必要です。ラポールを築く一貫として、秘密の共有をしてみてはいかがでしょうか。
◇子どもと建前で接する事も大切なことですが、子どもと本音で接する事はもっと大切なことです。一人の人間として子どもも親も接し合える環境を親が創ることが、重要なことだと思います。
◇コミュニケーションの本質は、受容と解放です。ぜひ、子どもを受容し、親としての自分を解放して、親子で、受容し合い、解放し合える関係を作っていきたいものです。ぜひ、子どもと内緒話をしてみてください。
『秘密の共有がラポールを高める!』