2014年03月06日

子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
 保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
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☆どんな親の背中を見せますか☆
 私は、中学校の教師や学習塾の講師を通して、たくさんの保護者の方とお会いして参りました。「こんな親になりたい」と思う憧れの保護者の方に何人もお会いしました。そんな中でも一番印象に残っているのが、山田さん(仮称)です。山田さんとは、お嬢さんが中学受験を控えた小学5年生で、私が勤める学習塾に通っていただいたのがご縁です。
 山田さんのお嬢さんは、塾に来ると、常に笑顔で、友達に対するネガ
ティブな発言を聞いたこともなく、とにかく明るく、授業前後で私のところに寄っては、好きな芸能人の話をしたり、ダジャレを披露したり、
田舎で伸び伸びと育った小学生という雰囲気を醸し出すお嬢さんでした。
 しかし、授業中の表情は真剣で、私の話を一字一句聞き逃さないと決めたような表情で授業に参加していました。模擬テストでは、ほとんど
毎回、成績優秀者として発表され、やがて、県下ナンバーワンの最難関
女子中学校に進学しました。
 私は、山田さんの担当として、お母さんに何度もお会いしたわけですが、お嬢さんに輪をかけた明るさと大胆さを持ち合わせた小学生が、そのままお母さんになったような方でした。
 私が「お嬢さん。がんばってますね」と伝えると、「あの子は、本当におっちょこちょいで困ったものです。母親に似ちゃってね。先生!」と1km先からでも声が聞こえるくらいの、大きな親しみのこもった声で
お話をされる方でした。ただ、保護者説明会などに参加して下さる態度
を拝見していると、お嬢さんの授業中の様子とそっくりな真剣な表情
で聞いていて下さるのです。
 やはり、親子は似ているのか。とも言えますが、親の態度や雰囲気を
子どもが引き受けたとも言えるのです。
 子どもは、身近な大人としての親から立ち振る舞いや雰囲気を学ぶのです。
「開放的に話し合う雰囲気か閉鎖的か」、
「楽観的か悲観的か」、
「互いに尊敬し合うか責任のなすり合いか」、
「取り組む姿勢を重視か結果を重視か」、
「平等か支配と服従か」、
「民主的か独裁的か」、
「理性的か感情的か」、
「協力的か競合的か」、
「創造的か保守的か」
などが、親の持つ雰囲気です。
 これらの親の雰囲気を、子どもが観察しながら学んで身につけるのです。
親が何を言って聞かせるか以上に、親が普段どんな態度で生きているかが問われています。
 子どものやる気を育てる雰囲気を親が醸し出すことは大切なことなのです。

☆子どもの話を聞いて、やる気を引き出す☆
 「うちの子は、ほとんど外の話を家でしないのよね」という話をよく聞きます。子どもの性格ということもあるかもしれませんが、もしかしたら家で話をしないことを学んでしまったのかもしれません。親からしてみると、子どもはくだらないことばかり言います。
花子:「お母さん。アイドルの山田が、俳優の川村と付き合っているんだって」
母 :「全くくだらないことばかり興味を持っているんだから・・・。そのくらい関心を持って勉強すればもう少し成績も上がるだろうにね」
花子:「まったくぅ~、お母さんはつまらない。勉強のことしか興味がないんだもの」
太郎:「お母さん。サッカーのペルーが、昨夜の試合で2ゴールも決めたんだよ」
母 :「お母さん。スポーツ興味ないんだよね」
太郎:「そうなんだ。つまんない」
 花子も太郎も自分の興味のある話をしても、お母さんは興味がないと一掃されてしまいました。このような機会が二人に何度も起きれば、自分の話は、お母さんに興味が持たれない。きっと話だけでなく自分に興味がないのかもしれない。ということを学ぶかもしれません。
 やがて、お母さんが聞きます。
母 :「今日、学校でどんなことがあったの?」
花子:「別に・・・」
母 :「別にって何よ。本当に学校のことを話さない子なんだから」
花子:「フン」
母 :「今日の試合どうだった?」
太郎:「負けた。」
母 :「なんだ。負けちゃったんだ」太郎:「・・・・・・・。(どうせスポーツに興味ないんだろ)」
 このお母さんの態度は、子どもに「私の関心のあることだけ話しなさい」というメッセージを送っているようなものです。
 そこで、こんな話の聞き方をしてみたらどうでしょう。
花子:「お母さん。アイドルの山田が、俳優の川村と付き合っているんだって」
母 :「川村ってあなたが好きな人でしょう。それはかなりショックじゃない」
花子:「そうよ。すごいショック。なんで山田なんかと付き合うのかしら。私の方がよっぽどいいと思うけど」
母 :「すごい自信ね。でも、確かに好きな人が女の人と付き合っているのはかなりショックよね。もう川村のファンは卒業かしら?」
花子:「ん~~。ショックだけどやっぱり川村好きだな」
母 :「そう(笑)」

太郎:「お母さん。サッカーのペルーが昨夜の試合で2ゴールも決めたんだよ」
母 :「一試合で2ゴール決めるってすごいことなの?」
太郎:「そりゃそうだよ。サッカーやってみるとわかるけど、ゴールを決めるのはすごく難しいんだよ。相手も決められないように守ってるからね。それなのに2ゴールはすごいよ」
母 :「そうなんだ。じゃあ太郎もがんばって、今度の試合でゴール決められるといいわね。お母さん応援しているわ」
太郎:「うん。がんばるよ」
 いかがでしょうか。子どもの話の内容に興味がなくても、知らなくてもいいのです。大切なことは、その話をしている子どもに関心を
持って聞くのです。

 話を聞いてもらうことは、子どもにとって自分自身に関心を持ってもらったと思うのです。
 このような会話を続けていれば、「どんな話もお母さんが聞いてくれる」と安心して多くの話しをしてくれるようになるはずです。
 それどころか、話のネタ作りに、外で色々なことにチャレンジするようになるでしょう。

☆受験は親子の成長のチャンス☆

 今は、各地で受験の真っ最中ですね。受験は、子どもやその保護者に
とっても大きなイベントであることは間違いありません。しかし、あまりにも、そのイベントの価値を過大評価していると、心と体のコントロールを失ってしまう危惧があります。イベントだからこそ、人生の中の貴重な体験にしたいものです。
 ある受験を控えた保護者Aさんの場合です。

1: 子どもがH高校受験を控えている 
 (出来事)
2:H高校に不合格になったら、息子も 
 私の人生はおしまいだ(信念)
3:焦るし、不安だし、イライラするので
 子どもに口うるさくなる(結果)

 さあ、子どもの心情や受験に臨む意欲はどうでしょうか。
 子ども自身だって不安なのに親の不安まで引き受けなければならない
としたら、子どもは不安で心がいっぱいになり、勉強どころではなさそうですね。
 2の信念は、「失敗は取り返すことのできない結果になる」という
非合理な信念なのです。この場合1の出来事は、変えることができません。そして、3のような保護者Aさんの結果は、2の信念で、決まることがわかります。
そこで、、、、
1: H高校受験を控えている(出来事)
2’: H高校に合格できるにこしたことはない(信念)
3’: H高校に合格できるように頑張って欲しいし、親として応援しようと決意する(結果)

 2の信念を2’のように変えると、結果が、3’のように大きく変わることがわかりますね。
2’の信念は、「もちろん合格してほしい。でも未来のことだからわからない。仮に失敗しても取り返しがつかないというわけでもないし、自分の子どもは課題を必ずクリアできる」という合理的信念なのです。
 私たちが「出来事」をどんな「価値観」で受けとめるかによって
「結果」が変わるのです。受験を子どもにとっても、保護者にとっても
建設的な経験になるように、もう一度、ご自分の信念・価値観を見直してみてください。

 受験で「合格したい」、「合格してほしい」のは、受験生や親であれば当然です。さらに、この受験が、受験生と保護者の成長の良き機会に
なりますように!

 因みに我が家もそんな家庭の一つです。

☆ 他者との比較をやめる! ☆
 「太郎!花子ちゃんは、テレビもゲームもやらないで、毎日必ず1時間は勉強しているんだってよ。あなたも少しは勉強したらどうの!!」

 我が子とよその子の優れているところを比較して、わが子に発破を掛けることがある。「ああ、そうか。自分は怠けていたな。頑張らなくちゃ」という子どもがいたら希少価値です。
 逆に「次郎君の家では、次郎君が欲しいと言えば、お父さんやお母さんは何でも買ってくれるんだって・・・」と、
 子どもが言ってくれば、「次郎君のところは、次郎君のところ。うちはうちよ。どうしても欲しいなら次郎君の家の子になっちゃえば・・・」なんて言い返したくなりますよね。
 また、「この間、お邪魔した山田の奥さんの料理すごく美味しかったな。お前も、少しは料理の腕を磨いたらどうなんだ!?」
 なんて、ご主人に言われて、「大変申し分けありません、私がいたら
なくて。今後は精進致します」なんて、まず考えませんよね。明らかに
喧嘩になるか、しばらく冷戦が続くことになるでしょう。
 他者の優位性との比較は、自分に対する批判と捉えがちです。ある側面に伝えたとしても子どもでも大人でも素直に聞けるものではありません。
 さらに人間関係が悪くなることも予想できます。ですから、子育てにおいて、他人と比べることは避けた方がよいでしょう。

 そして、もし、どうしても比較をするなら、子ども自身の過去と比較
することがお薦めです。
 「1か月前は、集中して勉強できていたように感じたのだけれど、今は
何か気が散っているようで心配だわ・・・」とお母さんから言われれば、子どもは、1か月前と今の自分を比較して、問題の発見と解決策の糸口が見つかります。
 「1年前は、『勉強しなさい!』と言っても、なかなか勉強しなかった
けれど、最近は自分から勉強するようになってお母さんうれしいわ」と
お母さんが言えば、成長を実感し、さらにやる気になることでしょう。

 他者との比較は、他者の中に暗黙の理想をおいて、減点法で現状の子どもを評価しているわけです。一方、子ども自身の過去との比較は、問題の発見や成長を承認する機会となるのです。
 
他人の子と比べても子どもの行動に変化がないのであれば、まずは、
他人と比較することを手放すことから始めてみてください。