2021年05月06日

子どものやる気を引き出す!親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

 

出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

☆ 子どもに愛情を示す! ☆

 

◇知り合いの塾の先生から、中学3年生の男子生徒のことで相談を受けた時のことです。家庭環境が複雑で、子ども自身が、勉強には全然意欲を示さないので、どうしたものかという相談でした。

 

◇生徒のお父さんとお母さんは、長年別居状態が続いていて、その男子は、お母さんのところで暮らしているそうです。お母さんは、不規則な勤務体系の職場で、子どもの生活とはすれ違いらしいのです。子どもは、家出をしたり、学校をサボったり、塾を休んだりしているということでした。こんな状態ですから、生活に対しても、勉強に対しても目標が持てないのだろうということでした。

 

◇その先生は、どうやったらこの生徒に目標を持たせることが出来るだろうか、という相談です。いくら目標を持てと言っても、この生徒は、持ってはくれないということで、その先生も随分と悩んでいました。

 

◇この生徒は、愛情確認の行為を一杯しています。家出をしたり、学校をサボったり、塾を休んだりと。問題行動は、一種、愛情確認なのです。親が自分に関心を向け、愛情を注いでくれるかどうか、問題行動をして確認しているのです。つまり、親からの愛情が感じられないから、本当に親は自分に愛情があるのだろうかと思って、親が困るであろう問題を起こして、親の反応を見ようとするのです。

 

◇まず、先生が、子どもの辛さに共感すること。理解を示すことが、大切なことだとその先生に伝えました。そして、その次に、子どもの問題行動に、意味を与えることなのです。

 

◇親に対して反抗してしまうのは、「君が親の愛情を欲してるからだよな」と子どもの問題行動の意味をその子に投げかけながら、理解を示し、その上で、その生徒の頑張りを認めることが、大切なことなのです。

 

◇自分がこういう状態ならば、「君のように塾には、来れてないかもしれないから、君は凄く頑張っている!」と、伝えながら、その生徒の話を聴いてみなさいとアドバイスをしました。

 

◇子どもが、何かについて目標を持つ時は、自分自身にエネルギーがある時なのです。ですから、目標を持たせようとする前に、まずは、子どもに愛情を示すことで、心にエネルギーを与えることが重要なことなのです。子どもを認めることです。そのことからスタートしない限り、子どもに目標を持たせることは出来ないのです。

 

◇子どもに愛情を示して、心にエネルギーを充満させない限り、つまり、子どものセルフ・エスティームを高めない限り、目標は持てないものなのです。

 

 

☆ 子どもに与えすぎない! ☆

 

◇今回は、いつもとはちょっと趣を変えて、人材育成について書いてみます。新しい部下が会社に入って、色々な人が、どうやって育てたらよいだろうかと迷っているのではないかと思うので。もちろん、親子関係にも通用するものです。

 

◇今回紹介するのは、経営の神様と言われた松下幸之助の人材育成についてです。彼の人材育成のキーワードは、「自分で考える」ということです。部下が松下幸之助に相談すると必ず、「君はどう考えるんや?」と返ってくるそうです。

 

◇元松下政経塾の塾頭の上甲さんよれば、まだ、松下幸之助が生きている頃、松下政経塾で寝泊りをしている時に、塾生が、朝刊を彼に持っていくと、塾生に向かって、「君が一番重要だと思う記事はなんや?」と聞くそうです。塾生にしてみれば、新聞を持ってきてありがとうで終わるところを、松下幸之助に質問されるのです。そして、その一言で、塾生は、翌日からは、朝刊をすべて読んで、一番重要な記事を探してから、彼に届けることになったそうです。

 

◇彼の一つの質問で、新聞を読めとは言わなくても、新聞を読むことになっていくのです。「自分で考える」、「自分で行動する」ことが、教育にとってどのくらい重要なことなのかを、松下幸之助は理解していたのです。

 

◇それでは、「自分で考える」ためにはどうすればよいのか。先の上甲さんは、「奪う教育」が必要だと言います。愛情を持って、「不便」、「不自由」、「不親切」を与えれば、自分で考えるようになる、と言うのです。

 

◇私もその通りだと思います。私たちは、子どものために、前もって色々なことをしすぎているのです。失敗しないように、前もって注意を与えすぎているのです。一々、注意を与えているから、子どもと親の関係が複雑になってしまうのです。ちょっとは、子どもに考える余地を与えることです。

 

◇松下幸之助の人材育成論のキーワードを最後に4つ挙げて終わりたいと思います。このキーワードを見てみると、今までの私たちは、子どもに過干渉であったかもしれません。子どもは、愛情さえ与えれば、人間として大切なことはつかんでくれるものです。子育ては、親の心構えが問われているのかもしれません。

 

「自修自得」・・・自ら問いを発し、自ら答えをつかめ
「万事研修」・・・すべてのことが、みな自分の師である
「流汗悟道」・・・汗を流してやったことは、自分の中でよく分かる
「凡事徹底」・・・当たり前のことを徹底しろ