2023年09月01日

子供のやる気を引き出す 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆子どもの小さな変化を発見する  

 

私達、保護者は、子どもに成長してほしい、成果を挙げて欲しいと願い、努力を求めます。しかし、努力がそのまま成果に現れれば良いのですが、大抵の場合、明確な成果はすぐには現れないのです。

 

努力と成果の関係を示す「レミニセンス」という理論があります。

 

簡単に言うと、すぐに結果はでないという考え方で、これをグラフで示すと、横軸に時間をとり、縦軸に努力や成果をとります。

 

日々、コツコツと努力を続けていると、右上がりの直線(比例のグラフ)になるとすると、成果のグラフも、努力のグラフに順ずる右上がりの直線になるはずです。

 

しかし、多くの場合、最初は、上がり方の鈍い(成長が目立たない)曲線になります。
しかし、やがて急激に上昇するようになり、やがて努力の直線と交わり、
さらには努力の曲線を超える成果が現れるようになる時期がやってきます。

 

努力を続けていれば、必ずこのような曲線の過程をたどるはずです。
ところが、努力の初期は成果があまり目立たないので、自分の努力を疑うことが良くあります。

 

「なぜ、こんなに努力しているのに、成果が出ないのだ!?」と…。

 

また、まわりの支援する人も「なぜ結果が出ないのか?努力が足りないのか?」と不安や疑問を持つようになります。

 

数値に現れるような成果を引き出すためには、この不安な時期を、本人はもちろん、まわりの支援する人も、何としても乗り越えることが必要なのです。

 

この時期を支えるのが、子どもの傍にいる、親であり先生なのです。

 

それならば、と、「この時期を乗り越えなければダメだよ」と伝えても、あまり効果は期待できません。
大人にとってよくわかった過去であっても、子どもにとってはイメージしにくい、まだ見ぬ未来だからです。

 

子どもは、子どもなりに努力をして、小さな変化は起こしているものです。

その小さな変化を発見し、「あなたは努力しているよ。そして、既に成果が出ているよ!」というメッセージを伝え続けるのです。

 

 

子どもも、成果を感じることができれば「もう少し頑張ってみよう!」という気持ちが湧いて来るのです。

まずは、「子どもの小さな変化」を発見することです。

 

 

☆ まず、共感! ☆  

 

私たちは、子どもをやる気にさせようとか、新たな行動をさせようとする時、一般的に、「褒める」、「励ます」、「叱る」、「批判」というアプローチをするものです。

 

次の3つの会話例で、ご自分が子どもになったつもりで味わってみて下さい。

 

例1)

子:「テストで90点とったよ!」

母:「えらいわね。今度は100点とれるように頑張ってね!」

 

例2)

子:「試合に負けちゃった」

母:「負けたことを、いつまでもクヨクヨしていても仕方がないじゃない。 今度は勝てるように頑張りなさい」

 

例3)

子:「今日、忘れ物しちゃった」

母:「『忘れ物しちゃった!』じゃないわよ、いつも、『前の晩に、しっかり持ち物を準備しておきなさい』ってあれほど言っているじゃない!」

 

いかがでしょうか。子どもとして、やる気や行動が変わりそうですか。

 

例1では、子どもは、「テストで90点とったよ!」の次に、どんな言葉を続けたいのでしょうか。

 

例2では、「試合に負けちゃった」の次に、どんな言葉を続けたいのでしょうか。

 

例3では、「今日、忘れ物しちゃった」の次は、どんな言葉を続けたいのでしょうか。

 

これらの子どもが続けたい言葉に意識を向けていると、他のアプローチが見えてきます。

 

例4)

子:「テストで90点とったよ!」

母:「嬉しそうね」

子:「そりゃ嬉しいよ。あんなに苦労して勉強したんだもん」

 

こうなると、単に点数だけに喜んでいるのではなことが察せられます。

 

「苦労した甲斐があった。苦労したけれど、苦労すれば成果につながることに満足」ということを実感しているのかもしれません。

 

「点数が良かったから喜んでいるのね。それじゃあ、褒めてあげれば、もっと頑張るだろう」というように親が捉えていたとしたら、親子の認識がずれてしまいます。

 

子どもにとってみると、「そこじゃないんだよな」ということになるかもしれません。そうなると、親のアプローチが、子どものやる気や態度を変えることに役立たず、このようなずれが続けば、子どもは親に話すことを控えるようにもなってしまう恐れもあります。

 

ポイントは、子どもの「テストで90点とったよ」の言葉だけでなく、声のトーンや表情を観察して、「嬉しいのか」、「悲しいのか」、「落胆しているのか」を察して、言葉にした「嬉しそうね」の一言なのです。

 

この一言によって、子どもが、「そうなんだよ…」、または、「そうじゃないんだよ…」とその発言の詳細を話してくれる呼び水になるのです。

 

親の気持ちを伝えるのは、この詳細(子どもの本音)を聞いてからでも遅くありません。

 

この一言こそ、共感なのです。

 

お子さんの気持ちを察して伝える共感を自然にできるようになると、お子さんが自ら学ぶ機会となる上に、お子さんとの会話がもっと楽しくなるのです。

 

是非、前述の例2、例3の共感も考えてみてください。