2023年03月17日

子供のやる気を引き出す 親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆勉強する意味を考える!

◇皆さんは、こんな質問をお子さんから受けたことがありませんか。「なんで勉強するの?」、「なんで勉強しなきゃいけないの?」、「どうして勉強なんか必要なの?」等々。

 

 

◇私は、塾の先生を17年間やっていたので、この手の質問が年間数十件から数百件も生徒たちからされました。
先述の質問の表現が違うように、生徒のその質問(=疑問)の奥にある悩み事も、一人ひとり違うので、幾通りもの答えを用意し、生徒の勉強に対するモチベーションを上げるように話しました。

 

 

◇しかし、私の基本スタンスは、表現や事例は違っていても一つです。それは、今やっている勉強は、社会に出た時の練習なんだということです。子どもを大人にする一つの訓練が学校の勉強なのです。

 

例えば、大人になって勉強しないと、社会に置いていかれて大変なことになるのですから、子どものうちに勉強するということの練習をしておくことが必要なのです。

 

また、人間は社会的な動物ですから、他者を理解すること、自分を理解することが必要になります。勉強は、初めて出会った事柄を理解する練習になるのです。分かりにくいことを理解しようとすることが、他者理解の練習なのです。

 

他人が書いたものを理解する、これも、学校で初めて習うことになります。他人を理解するためには、学校の勉強は、格好の機会を創ってくれるのです。

 

また、子どもは好きなことをすることが許されますが、大人は、その前に、自分の義務を果たすことが求められます。自分のやるべきこと=自分の課題に向き合う力をつけることも勉強をやる意味なのです。

 

 

◇最後に、私が私立高校の理事をしていた時に、夏休み中の講習で国語の授業をした際、なぜ国語を勉強するのかを生徒たちに話したことを書いて今回は終わりにします。

中土井:このクラスで国語が好きな人?えっ!誰もいないの?じゃあ、国語が嫌いな人?えっ!そんなに嫌いなの!困ったな。難しいから嫌いっていう人?ほとんどそうなんだ。難しいと思っているんだ。国語は、難しいよな。先生も学生時代は苦労した。でも、国語って難しいもんなんだよ。そうしないと、役に立たないんだ。他人の気持ちって、なかなかわからないだろう。国語は、他人の気持ちを分かるようにするための訓練なんだ。だから、易しいと現実的な役に立たないんだよ。だから、難しくしてるんだ。でもね。他人の気持ちもその人とじっくり話をしたらわかってくるだろう。国語も同じなんだよ。じっくり読んでいくと、一杯ヒントがあって、段々わかってくるんだ。君たちは、まだそのヒントの見つけ方が分かっていないだけなんだ。

 

だから、この講習で、そのヒントの見つけ方をするから、そうすれば、他人の気持ちもわかるようになるよ。
国語を勉強するって、他人の気持ちを理解するための練習なんだ。
さあ、練習しよう。

 

 

☆自己肯定感を高める!☆

 

◇自信とは、自分の可能性を信じることです。自分には何かをやる能力があるとか、自分はどんな状況でも何とかなるとか、自分に対する信頼がある状態を自信のある状態というのです。

 

◇こういう自信を持つためには、どういう感情が必要なのでしょうか。
それは、自己を肯定する感情です。自己肯定感が、自信に繋がるのです。それでは、この自己肯定感はどうすれば高まるのでしょうか。

 

◇それは、交流分析の言うプラスのストローク、特に無条件のプラスのストローク(承認)を子どもたちに投げかけることで、子どもたちの自己肯定感は高まります。

 

◇無条件のプラスのストロークとは、子どもが、何かをしたから褒めるというよりも、何もしなくても子どもがいるだけで、親として子どもを認めるというものです。

この無条件のストロークで子どもたちのセルフ・エスティームが高まるので、自己肯定感が高まっていくのです。

 

つまり、お母さんやお父さんが、自分のことを重要だと思ってくれている。お母さんやお父さんに認められている私は、自分のことを肯定して良いんだ!という風になるからです。

 

 

◇たとえば、算数のテストで、100点を取ったから褒めるというのは、条件付のプラスのストロークです。
それに対して無条件のプラスのストロークは、どんな得点でも親として子どもに対して優しく接するということです。

 

◇子どもの存在をいつでも関心を持って見つめていくと、子どもの自己肯定感は、高まっていくものです。
自己肯定感が、高まってくれば、何に対しても自信を持って臨めるようになりますし、新しいことをして、たとえ失敗しても、失敗から何かを学ぶようになっていくのです。

 

◇そうなれば、子どもは自分自身の強さを実感できるようになっていくものです。

 

◇私たちは、子どもの良い面と悪い面を同時に認めることです。
そして、良い面に関心を示して、良い面を伸ばしていこうとすることです。
そうすれば、子どもは自分自身の可能性を信じられるようになります。
そうなれば、子どものやる気は断然高まってくるはずです。

『子どもの自己肯定感を高める!』

 

 

☆子育てと勉強☆

 

◇子育てって、何でしょう。
子どもを育てるってどういうことなのでしょう。
色々な答えがあるでしょうが、今回は、公共性を育てるという風に考えてみます。
つまり、子育ては、子どもを大人にするために、公共性を子どもの中に根付かせることなのです。

 

◇そうすると、子育てで必要なことは、公共性に関連することを教えたり考えさせたりすることだということです。
それでは、公共性とは何か。簡単に言えば、複数人の中で他人に不快な思いを与えずに振る舞えること、
集団の秩序を乱さないこと、この集団が存続するように行動すること等々、ということです。

 

◇ですから、子どものうちに、約束は守る、人の話は聞く、ルールを守る、他人と喧嘩しない、暴力を振るわない、ものを粗末にしない、悪いことをしたら謝る、目上の人を尊重する、親を大切にする等々、を教えるのです。

 

これが、子育てです。

 

◇それでは、子どもはなぜ勉強をしなくてはならないのでしょうか。
これまた、公共性を習得するためにです。
子どもは、勉強をすることを通して、公共性を学びます。
学校に行けば、そのルールがあります。集団の中で皆で学びます。

 

学校で勉強するということは、公共性を学び、そして、それを試す素晴らしい時間なのです。

 

人の話を行く時は、どういう態度でいるのか。

 

人の指示を聞いて実行するとはどういうことなのか。

 

他人に迷惑をかけないということは、どういうことなのか。

 

準備をする意味は何なのか。

 

自分が理解できないことを他人に聞くにはどうすれば良いのか。

 

何かを学ぶためには、どうすれば良いのか、等々。

 

色々な生きる力を実は勉強をするプロセスで学ぶのです。

 

◇子育ては、公共性を培うプロセスです。

 

そういう風に考えて、子どもとの距離を取りながら、子育てを楽しんでください。

『子育ては公共性を培うプロセス!』