2012年12月04日

子供のやる気を引き出す!親のアプローチ


塾コンサルタントで有名な中土井先生の講演・メルマガなどから、保護者の方にも役立つかもしれないという内容について、転載許可を頂き掲載させて頂きます。
 我々も気づかされることがたくさんあります。
 保護者の方々にも何かの気づきの一つになって頂けければ幸いです。

☆勉強をみるコツ!☆
◇子どもの勉強を上手く見るコツは、あまり教えないことです。親身になりすぎて教えてしまうと、子どもが分からない時に、「何で分からないの!?」と詰問してしまって、お互いの感情を害することになるからです。
◇ですから、教える時には、分からなくても当たり前という前提で、まず子どもと向き合うことです。そして、分からせるというよりも、子どもは、この問題の何が分かるようになれば、自力で分かってくれるのかを考えながら、遠回りして教えていくことです。

A君 :お母さん、この問題教えて!
お母さん:お母さんに分かるかな?算数苦手だから。
A君 :この問題だよ。
お母さん:うんうん、なるほど、この問題か。A君、この前さ、こんなこと習ったでしょ。覚えてる?
A君 :え~?こんなのやったっけ?
お母さん:ほら、こんな式よ。きっとやったでしょ。覚えてない?
A君 :え~?こんな感じで解くやつだっけ?
お母さん:そうそう。それ!思い出した?
A君 :うん。思い出したよ。
お母さん:じゃあ、この問題だけど、この前の式で考えたことをちょっと利用するとわかるかもよ。
A君 :どうやって?
お母さん:この問題は、こういう風に読んでみると、これとこれが二つに分かれるでしょ。
A君 :そうだね。あっ!分かったよ!こうすれば良いんじゃないの?
お母さん:そうそう、そういう風に考えればよいのよ。こういう問題が出てきたら、以前やった問題で解けるかどうか、考えながら、やってみたら。新しい問題に見えても、今まで習ったことを基にして考えると出来るかもね。
A君 :うん。ありがとう!

◇教える側は、子どもが理解できる前提を考えながら教えることが、基本です。既知から未知へと教えるのが、教師の鉄則だと言わていますが、まずは、子どもが、何を知っているかを知って、分からないのは、どういうことが分からないのかを理解して教えることです。

◇そして、重要なことは、極力子ども自身でやり方なり解答がわかるようにもっていくことです。

◇子どもがヒントだけではなかなか気がつかなければ、あまり深入りしないで、塾や学校の先生に聞いてみなさいよといって切り上げて、違う勉強を促してもいいかもしれません。
◇お母さんとの関係を悪くして、勉強から遠ざかっては意味がないからです。ぜひ、子どもの目線で問題を考え、教えてください。

☆モチベーションのボタン!☆
◇モチベーションのボタンは、人それぞれです。親と子どもでもそのボタンは違います。親のモチベーションのボタンをそのまま子どもに押し付けても、子どもは、全然響かないものです。子どもには子どものモチベーションのボタンがあるものなのです。

◇NLP(神経言語プログラム)の考え方に、価値観型の人間とビジョン型の人間に分ける考え方があります。価値観型の人間は、日々の生き方が問題になっているので、その生き方に関わることにモチベーションのボタンがあるそうです。

◇ビジョン型の人間は、将来の自分のイメージに関わることにモチベーションのボタンがあります。この二つの人間観を少し意識して、子どもを見ていると、どっちの傾向が強いか分かってきたりします。
◇今回は、価値観型の人間に対する接し方の例を示します。

お母さん:A君、最近どうなの?なんだか悩んでいるように見えるけど。
A君 :え~?別に。
お母さん:そう?何か変だけど。今日はどういう一日だった?
A君 :え~?別に。普通だよ。
お母さん:A君は、どういう時に今日は良い一日だったと感じるのよ。
A君 :え~・・・。わかんないよ。何でそんなこと聞くの。
お母さん:お母さんがA君を見ていると、A君が、自分を大切にしているな! と感じる時があるのよ。その時のA君の顔が好きなんだけどな。最近、どうもA君に元気がないように見えるのよ。
A君 :そんなことないよ。
お母さん:A君は、何を一番大切にしたいと思っているの?
A君 :え~?・・・・。
お母さん:A君が、自分の大切にしていることをコツコツと積み重ねていくだけでお母さんは良いと思うわ。最近、A君は、無理して嫌なことやってんじゃないの?
A君 :そんなことないよ。強いて言えば、勉強が嫌だけどね。

◇A君にとって大切なことをお母さんが知ろうとすることが重要です。
価値観型の人間は、なかなか自分が納得しなければ動かないものです。
無理強いをしても無駄なことが多いので、そういう価値観型の子どもには、共感を持って接してみてください。そうすれば、子どもは、お母さんの理解を得て、やる気になるものです。

『人それぞれのモチベーションをボタンを発見する!』

☆結果以上にプロセスに注目する!☆
◇結果が全てだと言われる社会ですが、子育ては、一概に結果が全てで終わるようなものではありません。子育てで重要なことは、子どものプロセスに関心を示して、努力すること、真剣に取り組むことの大切さを教えることです。ですから結果よりもプロセスを重要に見ていないと子育ては、上手くいきません。
◇親が、結果にだけ関心を示してそれを重要視すると、子どもは、親の期待に応えようとして、何が何でも結果を出そうとします。時には、不正を犯してでも結果を出そうとします。学校や学習塾で、テストをカンニングしてしまう生徒がいるのは、大概は、親の期待に応えようとして、不正を冒してでも親を喜ばそうとするからです。
結果もそれなりに大切ですが、それ以上に、その結果を出すプロセスを大切にすることです。親が、プロセスに関心を示して、子どもの成長を促すならば、子どもは、結果だけを追い求めることから、結果を出すためのプロセスをしっかり行うようになるものです。よい結果を出すための良い原因作りを真剣に行うように子どもはなります。

お母さん:A君、中間テストの結果はどうだった?
A君 :え~?別に。
お母さん:中間テストの結果よ!どうだったの?
A君 :え~?別に。普通だよ。
お母さん:A君!テストの結果が問題じゃないのよ。だから、良くても悪くてもはっきり言わなきゃ。結果よりも知りたいのは、その結果を出すために、どういうことをしたのかってことよ。お母さんが知りたいのは。
A君 :え~・・・。わかんないよ。何でそんなこと聞くのよ。
お母さん:この2週間ぐらい、A君は、随分と頑張っているなって、お母さん思っていたのよ。だから、その頑張りが、どういう結果だったのか知りたいのよ。
A君 :いつもとそんなに変わらないよ。
お母さん:A君は、この結果にちょっとショックを受けているの?
A君 :え~?・・・・。
お母さん:今回、結果がA君の思うようなものでなくても、A君の2週間の努力は、無駄になってはいないと思うわ。
A君 :結果が出てないんだから、無駄だったんだよ。
お母さん:そうじゃないとお母さんは、思うけど。結果が出ても出なくても、努力したことは、重要なことなの。たまたま結果が出なかっただけよ。でも、努力することができたと言うことは、次にも努力は、出来るということでしょ。そっちのほうが大切なの。
A君 :そうかな?

◇子どもは、結果に囚われていることが多いものです。ですから、結果よりもプロセスが、重要なことを親子の会話の中で意識的に伝えることです。
プロセスを大切にする子どもが、良い結果を出すものです。親として子どもの結果だけではなく、その結果を出したプロセスを承認していくようにしたいものです。
   『プロセスに注目する!!』

☆期待する行動に注目!☆
◇子どもの行動は試行錯誤の繰り返しです。その行動の中から、子ども自身のために、周りの人のためになる行動を継続するかどうかは親の対応にかかっています。

母:「太郎!あなたはテレビばかり見ていて、少しは勉強しなさい」
太郎:「これが終わったらやるよ!」
母:「いつも、そう言ってやらないんだから」
太郎:「やればいいんだろう!(自分の部屋にこもる)」

翌日
太郎は珍しく勉強しています。
しかし、お母さんは、心の中でやっとやる気になったと思いホッとして
います。こんな会話を繰り返していたら、子どもが自主的に勉強する習慣は身につきません。

親というのは、「子どもが勉強するのは当たり前」、「親が望むことを
するのは当たり前」と思いがちです。そして、子どもが期待通りの行動をしなければとやかく口を出します。逆に親が望むことをしている時は、積極的にコミュニケーションをしないものです。

母:「太郎!勉強がんばっているのね。おやつよ!」
太郎:「ありがとう!明日までにやらなきゃいけない宿題なんだ」
母:「太郎の一生懸命勉強している姿を見るとお母さんあなたが成長したんだと嬉しくなるわ。もしわからないところがあったら、お母さんのわかる範囲で教えてあげるわよ」
太郎:「ありがとう!でも、お母さんわかるの?」
母:「何、生意気なことを言って・・・。だから『お母さんがわかる範囲で・・・』って言ったでしょう」
太郎:「・・・」

◇子どもが好ましい行動、親が望む行動をしている時にこそ、肯定的な声をかけて承認しましょう。親の肯定的なアプローチが子どもが好ましい行動を選択する重要な機会なのです。
  『期待する行動に注目!』

出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」

今回は4つの例を挙げさせて頂きましたが、「お母さんと子供」というだけの話ではなく、「お父さんと子供」、「学校の先生と子供」、「塾の先生と子供」など、子供に関わるすべての方にとって、色々な気づきがある内容だったように感じます。
 我々もいろいろな観点から子供をしっかりと見ていかなければと新たな気づきを与えてもらいました。
 時を見て、このような内容もアドバンス通信で掲載していきたいと思っております。
 ご感想、ご意見などがございましたら、お気軽にお寄せ頂ければ幸いです。