教務便り
教務の安田です。
今年もまた、このシーズンがやって参りました。中3生の公立高校入試まで、残り100日を切ってしまいました。月日の経つのは、本当に早いものですね。
さて、今回は入試関連の話で、「何を目標とするか」そして、「読解力」についての2点について、書かせて頂きたいと思います。
まず、「何を目標にするか」についてですが、この入試直前の時期には、どうしても「合格する」という目先のことを目標にしがちで、その後のことは二の次という生徒も多くいます。
しかし、本当にそれでいいのでしょうか。合格をしたものの、そこがゴールでないことは明白です。
また、新たに高校での生活が始まりますので、とりあえず合格できたら、またそこで考えればいい。そんな考えで入試に臨むと、入ってから苦労することにつながりかねません。
苦労する理由の第一に、学力が伴っていないことが挙げられます。
もし、ギリギリでなんとか合格した場合、漢検などの資格試験ならば、資格取得がゴールですので、それでも構いませんが、入試は違います。今度は入学後、ついていくのに大変な思いをするかもしれません。
これは就職活動の際に、よく言われることですが、「内定」を目標にしている学生は内定をなかなか取れないと、「内定を勝ち取れる学生」は、内定が目標なのではなく、その先の入社した後の姿やビジョンを持っている学生だと言われます。
これは、高校入試や大学入試にも当てはまると思います。
「合格=ゴール」となってしまうと、そこで、気持ちの糸が切れてしまい、次の行動を取るまでに時間がかかってしまいます。
合格した後の過ごし方こそ、自分の目標に向けての第一歩となるべきであるにもかかわらず、そのことは二の次になってしまいがちなのです。
しかし、合格することが「通過点」であるなら、合格後、少し休憩することはあっても、それはあくまでも休憩であり、ゴールではないので、また仕切り直して、走り始めることは、それほど難しくないと考えられます。
目先の合格だけを目指すのではなく、入ってからのことも考え、力を蓄え、十分な学力とその先の勉強のこと、進学のことなども視野に入れた上で、勉強に臨んでもらいたいと思います。
そうすることで、長期的な目標が見えてきて、多少の辛いことにも耐えることができるのではないかと思うからです。
これからが受験生は、正念場となりますが、自分の将来がかかった大切な受験ですので、怠ることのないよう頑張っていきましょう。
次に、読解力の話です。
読解力とは何かという問いには、「問題を読み解く力」であったり、「文章に何が書いているのかを読み取る力である」という答えが返ってくると思います。
もちろん、それも重要なことですし、正解だと思います。
しかし、私が考えているのは、それだけではありません。それは、読解力は、「想像力」であるということです。
例えば、小説のある部分を読んでいて、その人間関係や背景、情景を想像しながら読むということを苦手としている生徒が多いように感じられます。
ここでいう想像とは、自分勝手に創りあげるのではなく、書いてあることに沿って、頭の中でビジョンを描くということです。
また、文章を読む際に、そういった想像なしに、ただ単に字面だけを追っている生徒もいるということです。それでは、中身が頭に入ってきません。
では、読解力をつけるにはどうすればいいのかということですが、流し読みをすることを考えると、闇雲に本を読めばいいというわけでもなさそうです。
私自身、大学受験の現代文を教えていますので、読解力にはそれなりに自負するところがあるのですが、自分自身を振り返ってみて、思うところが何点かありますので、挙げてみたいと思います。
まず、1つ目に「多読する」と言うことです。読書をするということは、やはり読解力を育ててくれます。しかし、流し読みことを考えますと、単に読めばいいというわけではなく、想像しやすい文章を読むことが、読解力養成につながるのではないでしょうか。
次に「想像力を鍛える」ということです。
これは私が幼稚園くらいの頃だったと思いますが、夜寝るときにカセットテープで昔話を良く聞かされていました。
今思えば、親の手抜きだったのかも知れませんが(笑)、それが当時はとても楽しみで、音声を聞きながら、その物語を頭で想像することに慣れていったように思います。
最後に「読むスピードを上げていく」ということです。
私自身、それほど早くはありませんが、大体200ページ程度の本ですと、30分~1時間あれば読み終わります。
こうして速読することで、中身を把握する力も育っていくと思いますし、読書を止めてしまう原因の1つが、いつまで経っても読み終わらないということだそうなので、速く読んでしまうというのは、継続性という観点からも、有意義なことなのかと思います。
継続して行うことが大切なのは、言うまででもありませんが、読解力に自信がないという方は、一度試してもらえればと思います。