2022年10月20日

教務便り


ご無沙汰しております。10月に入り、一気に涼しくなり、早速ヒートテックを引っ張り出してきた安田です。

 

さて、今回は「傾聴」と「バックトラック」について書きたいと思います。一時期、塾業界のみならず、さまざまな場で、コーチング理論が流行った時がありました。

 

もちろん、これは一過性のものではなく、身につけるべきスキルだと思っておりますが、その中に「傾聴」というスキルがあります。読んで字のごとく「耳を傾けて聞くこと」です。

 

「〇〇についてどう思う?」などと尋ねたときに、すぐに答えをくれる生徒と、時間がかかる生徒がいます。

 

例えば三者面談などでも、なかなか答えを出してくれないケースもあります。

 

この際に、意識しているのは「こちらで答えを用意しない」ということです。特に「はい」「いいえ」で答える質問に変えないことを意識しています。

 

また、生徒が答えるまで、結構待ちます。5分でも10分でも、30分でも生徒が話し出すのを待ちます。気が長いかというと全然そんなことはなく、むしろ、気は短いのですが、これは待てます。それは、その長い時間考えた結果出る言葉に価値があると思っているからです。

 

もちろん、時にはその長い時間かけたのに、その答えなのということもあります。 そんな場合は、生徒に自分の考えが伝わるように質問を変えます。そして、また待ちます。

 

昔、アドバンスが家庭教師をしていた際には、勉強が嫌で授業から逃げる中3生を捕まえて、5時間くらい、みっちり1対1で話をしたこともあります。

3時間くらい話して、ようやく重いが伝わってきたかなという頃合いで、また「でも・・・」と振り出しに戻されることもありました(泣)

それでも、最終的には、本人の言葉で自分の思いを語ってもらうため、ひたすら言葉を待ちます。

普段の授業中でも、中には「うんうん」と頷くだけで、意図を組んでもらおうとする生徒もいます。

また、指をさすだけで言葉を発しない生徒もいます。

 

そんな場合でも、口で言うようにということを意識づけています。

 

 それは、これから社会に出ていく際に、保護者や学校、塾の先生のように、わかろうとしてくれる存在ばかりではないと思うからです。

 

 会話をするというコミュニケーション力はもとより、自ら発言して、相手に自分の意図をわかってもらおうとする力を身につけてもらいたいと考えています。

 

 そのために「傾聴」は大きな役割を果たすと考えています。

 

 大丈夫かな…、もしかして聞いてなかった?と思うときもありますが(笑)、それでもめげずに傾聴します。

 

 言葉が出てこない時には、相手の理解度を確かめるように、質問をかみ砕いたりもします。

 時間はかかりますが、本心を打ち明けてもらうための手段だと考えています。

 

 また、傾聴と同時に一緒に行うことが、本人の言葉を繰り返すことです。

 これは「バックトラック」と言い、あなたの言ったことをちゃんと受け止めましたよというサインです。

 

 オウム返しのように、同じ言葉を復唱することもあれば、それを要約して伝えることもあります。

 それによって、きちんと話を聞いてくれているという信頼関係を構築していくことにも繋がります。

 

 また、自分の考えを押し付けるのではなく、相手の意見をしっかりと受け止めることにも繋がります。人はどうしても自分の話をしたくなりますので、それを防ぐことにもなります。

 

 さらに、繰り返すことで、相手の気持ちに共感することもできます。どうして、そんな気持ちになるのか、考えになるのかを追体験することで、より深くわかると考えています。

 

 今回は、傾聴とバックトラックについて書かせて頂きました。

 

 私自身、完璧に使いこなせているかというと、まだまだなところも多々ありますが、これらコーチングスキルを意識しながら、話を聞くことで、より深いコミュニケーションをとっていきたいと思います。