子供のやる気を引き出す親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆Iメッセージで会話をしてみよう!
◇コミュニケーションスキルの中で、I(アイ)メッセージとYOU(ユー)メッセージという考え方があります。
コーチングのスキルとしても有名なものなのですが、このIメッセージは、話し手を主語して、話し手の感情や考え方を伝えるもので、YOUメッセージは、聞き手を主語にして、話し手の感情や考えを伝えるものです。
たとえば、以下のようなものが、IメッセージとYOUメッセージです。
お母さん:お母さんはね、あなたがテスト前なのに、こうやってゲームをやっているのを見ると、なんだかイライラするんだけど!
お母さん:お母さんは、テスト前はあなたに勉強してほしいと思うんだけど!
お母さん:なんでテスト前なのに、あなたはゲームをやっているの?そんなことでいいと思ってるの?!
お母さん:何回言ったら分かるの!テスト前になんで勉強しないのかなあ!
◇この4つのフレーズは、どれも「テスト前なんだから勉強しなさい」という内容ですが、どのフレーズが読者の皆さんには、しっくりきますか?
上二つは、Iメッセージと言われるものです。
話し手であるお母さんの主語にして語っているものです。
お母さんの気持ちや意見を聞き手に伝えているものです。
下二つは、YOUメッセージと言われるもので、聞き手を主語して、話し手であるお母さんが、評価を下しているものです。
下二つは、メッセージの後に「だからあたなはダメなのよ!」という声が聞こえてこないでしょうか。
◇マイナスのYOUメッセージは、相手のセルフ・エスティーム(自己有能感)を下げてしまうのです。
ですから、出来るならば、子どもに注意を喚起する時は、Iメッセージを使ってある行動を促してほしいと思います。Iメッセージは、相手の感情や考えを無視することなく、自分の感情や考えを伝えることが出来る、便利なスキルです。
子どもと会話をする時は、Iメッセージを意識して使ってみたらいかがでしょうか。
ちょっとまわりくどくはなりますが、感情的な衝突は少なくなるはずです。
『Iメッセージを活用しよう!』
☆ 子どもの気持ちを受容しよう!
◇子どもが学校や塾でカンニングをしたら、皆さんはどう対処しますか。先日、そんな相談を、とある塾の先生からいただきました。
◇その方は、子どもを思いっきりどやしつけ、二人で話をしたそうですが、その子どもはどうも納得していないように見えたというのです。
そこで私に先の質問をしてみたそうです。
私は、その先生と以下のようなロールプレイをして、答えに代えました。
中土井:どうしてカンニングなんかしちゃったんだ?
生 徒:・・・・。
中土井:君は、カンニングが悪いことだと知っていただろう?それでも、カンニングをしなければならなかった。その理由が先生は知りたいんだよ。
生 徒:いい点取らないと居残りになるから。
中土井:そうか、居残りになると思ったからカンニングしたのか。ドキドキしただろう?
生 徒:ちょっとね。
中土井:居残りが嫌な理由はなんだい?
生 徒:お母さんに、点数がばれちゃうから。居残りの連絡を先生がするでしょ?
中土井:そうか。お母さんに悪い点数を知られたくないからか?お母さんは君が悪い点数だと叱るのか?
生 徒:そうなんだよ。だから、ついついカンニングしちゃったんだ。
中土井:そうだったのか。居残りが嫌だったんじゃなくて、お母さんに悪い点数を知られるのが嫌だったのか。でも、なんでカンニングで切り抜けようと思ったの?勉強してくればいいんだよ。何か出来ない状況でもあるのかな?
生 徒:家にいると勉強できないんだよ。お母さんが、勉強しろしろって煩いし、好きな国語をやってると数学や英語をやりなさいってすぐ言うんだよ。
中土井:そうなのか。勉強に集中できないわけだ。じゃあ、しょうがないな。カンニングでもして切り抜けなきゃな。でも君もカンニングは悪いと思っているんだから、ちょっと辛いよな。カンニングをしなくても良い点数が取れる方法はないのかなあ?
◇こんなロールプレイをしているうちに、その経営者の方は気が付かれました。
正論だけだった自分の叱り方に。
◇子どもが何かをしでかしたら、子どもの気持ちを受け止めることが重要なことなのです。
それなくして正論を説いても、子どもはその正論を聞き入れてはくれないものです。
まずは子どもの気持ちを受容し、子どもの気持ちを理解して、その次に子どものために、どうすれば正義がなされるのかを一緒に考えなければ、子どもは、叱ってもなかなか聞いてくれるものではありません。
◇頭ごなしに叱ってみても、子どもは叱った事実や内容を受容してはくれないのです。