2025年度第1回 英検(準会場)の実施を終えての出題傾向考察
先日、2025年度第1回英検の準会場での実施が無事終了いたしました。今回は、新設された「準2級プラス」の初回実施であったこと、さらに「2級」のライティング問題における要約文字数の変更なども重なり、例年以上に注目しながら監督を行いました。
結論から申し上げますと、「準2級」の難易度、特にリスニングにおいて変化が見られたように感じます。これは明らかに「準2級プラス」の新設による影響だと考えられます。
この「準2級プラス」の新設は、「準2級」には合格できるものの、その後の「2級」合格に至るまでに時間がかかるという実情を踏まえ、受験者のモチベーション維持のために導入されたものです。段階的に合格を積み重ねていけるよう、新たなステップを設けたという趣旨だったのではないかと推察されます。
この新設に伴い、「準2級=高1レベル」、「準2級プラス=高2レベル」、「2級=高3レベル」と段階的な位置づけがなされた結果、「準2級」の難易度が調整されたように思われます。
特に印象的だったのはリスニングのスピードです。過去の準2級と比較すると明らかにゆっくりで、内容も平易になっており、3級とのスピード差もあまり感じられないほどでした。受験者にとっては取り組みやすかったのではないかと感じています。
一方、新設された「準2級プラス」は、確かに「高1」と「高3」の中間的なレベルという印象を受けました。リスニングのスピードや内容もその中間に位置づけられており、非常にバランスの取れた出題になっていたと思います。
ライティングにおいても、2級の要約問題ほど文量は多くなく、内容も構文も比較的取り組みやすいものでした。ただし、要約問題は英語力と演習の慣れが必要不可欠であり、確実に得点するには徹底したライティング訓練が必要です。
さらに全級を通して感じられた傾向として、文法単体の出題が減少傾向にあることが挙げられます。もちろん、文法力がなければリーディングも「フィーリング読み」になりがちであるため、基礎文法は必要不可欠ですが、それ以上に重視されているのは、「内容把握の速さ」や「設問の意図を読み取る力」だと感じられます。これは共通テストのリーディングと共通する点でもあります。
そのため、今後の対策としては、語彙力・読解力・速読力・構文力・思考力・ライティング力の強化が急務です。
ただし、現在の高校学習指導要領では、「英語コミュニケーション」で読解力・構文力・速読力を、「論理・表現」では文法力と表現力を重点的に扱うとされています。そのため、英検の要約問題などは、別途の対策が不可欠であり、要点を押さえられずに減点され、対応できない受験者が増えるのではないかと危惧しています。
「準2級」までは多くの生徒が比較的スムーズに合格できますが、「準2級プラス」および「2級」以降は、長期的視野に立った継続的な対策が必要になるでしょう。
弊社でも、英検対策として「英語英検重視パック」は準2級まで、「英語英検スペシャルパック」は準2級プラス以降に対応していますが、準2級プラス以降の級は一朝一夕には合格できないことをご理解いただき、日々の学習を通じて英語力を着実に高めていただきたいと考えています。
英検は「英語力の到達点を測る検定」であるという原点に立ち返り、今後も的確な指導とサポートを行ってまいります。