内申点は大切ですが・・・
中学3年生のお子さまをお持ちの保護者の皆さまへ。
兵庫県の高校入試では、通知表の「副教科」の評価が、想像以上に合否に影響します。
今回は、その仕組みと、内申点がどのように計算されるのか、そして保護者として知っておきたい「副教科と5教科のバランス」について、具体例を交えてわかりやすく解説します。
◆副教科の通知表が高校入試に与える影響とは?
兵庫県の公立高校入試(一般選抜)では、合否が「当日の試験の点数」と「内申点(通知表)」を合計した500点満点で決まります。
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当日点:5教科×100点 ÷ 2 = 250点満点
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内申点:9教科(主要5教科+副教科4)= 250点満点
つまり、「通知表」の評価が、当日点と同じ比重で合否に関わるのです。
◆副教科の内申点が大きな影響力を持つ理由
通知表の点数(内申点)は、次のように計算されます。
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主要5教科(英・数・国・理・社)= 評定×4倍
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副教科(音楽・美術・技術家庭・保健体育)= 評定×7.5倍
この倍率からも分かるように、副教科は内申点において非常に大きな比重を占めています。
たとえば、主要5教科がオール3でも、副教科がオール5なら、非常に高い内申点になります。逆に、主要5教科がオール5でも、副教科がオール3なら、内申点はそれほど高くはなりません。
具体例で見てみましょう
主要5教科 | 副教科 | 合計内申点 | |
Aさん | 3×5教科×4倍=60点 | 5×4教科×7.5倍=150点 | 210点 |
Bさん | 5×5教科×4倍=100点 | 3×4教科×7.5倍=90点 | 190点 |
Aさんは主要教科がすべて「3」ですが、副教科がすべて「5」なので、内申点は210点。
Bさんは主要教科がオール「5」ですが、副教科が「3」なので、内申点は190点です。
つまり、主要5教科でトップの成績を取っていても、副教科によって逆転されてしまう可能性があるのです。
「内申点20点の差」は、当日点でいうと「40点の差」
兵庫県の入試制度では、第一志望に「第一志望加算点(第2学区では20点)」がつく仕組みがあります。
内申点で20点差がつき、さらに加算点で20点上乗せされると、当日点に換算して最大60点の差となって合否に影響してしまいます。
問題は「入学後」にも…
副教科の評価が高くて合格した生徒が、入学後に主要教科で苦戦する――というケースを最近よく見かけます。
合格して安心し、部活にも入って、高校の学習についていけなくなってしまう。
これが、いわゆる「高1クライシス」と呼ばれる現象の一因です。
もちろん、高校に入ってから努力して巻き返すことも十分可能です。しかし、入学の時点で5教科の基礎学力が不足していると、スタートでつまずいてしまう危険が高いのです。
大切なのは「バランスのとれた学習」
上位校を目指すことは素晴らしいことです。
しかし、「副教科の内申点を上げて受かればいい」という発想になってしまうと、本末転倒です。
塾としても、「合格させて終わり」ではなく、「入学後も伸びていける学力」をつけてあげたいと考えています。
ですから、
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主要5教科の学力をしっかりと積み上げること
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副教科も丁寧に取り組み、内申点につなげること
この両方を大切にする「王道の努力」が、最も確実で、将来につながる選択ではないでしょうか。
ご家庭でも、ぜひ「副教科の大切さ」と「主要教科の基礎固め」の両面から、バランスよくお子さまの学習を支えていただければと思います。
ご不明な点などありましたら、いつでもお気軽に塾長阪本宛にご相談ください。