2019年10月25日

塾長コラム


先日、教材会社主催の兵庫県公立高校入試対策セミナーに伺って参りました。

 

毎年、各社の入試分析会にも参加させて頂いたり、我々独自での出題傾向分析、作問分析なども行っておりますが、先日伺ったセミナーは、非常に緻密なデータで資料を作成されていて、またよくお聞きする角度ではない切り口からのお話もあって、大変参考になり、有益なお話を聞かせて頂くことができました。

 

関係者の皆様、有難うございました。

 

さて、兵庫県の公立高校入試の大きな特徴として、数学・理科の難易度がとても高いということはご存知の方も多いかと存じます。

 

また、記述問題が少なく(これは以前の採点ミス問題が原因だと思われますが)、選択問題が大半となっています。

 

時代はセンター試験が廃止され、共通テストに変わる端境期の中、文科省の指針通り、共通テストプレでは、思考力、表現力、読解力を問うような発問が一気に増えており、それに合わせ高校入試の作問も変化してきているという現状です。

 

兵庫県の公立高校問題は近年、かなり共通テストの傾向を意識して作られています。

 

難易度的には全都道府県の中で、「中の上」くらいと言われておりますが、大阪府のように複数の入試問題(A・B・Cと3種類あります)に分かれていない分、成績上位層から中下位層までをうまく網羅できる作問は中々難しく、差がつかなくなることを避けるため理数科目は難しくしているのかと思わざるを得ないほど、理数はハードルが高くなっております。

 

出題文字数については、他の都道府県が軒並み増えているにも関わらず、兵庫県はなぜか減っているという面白い現象があるようです。

 

ポイントとしては、今までのように「単純暗記」、「用語暗記」だけで通用する問題は激減し、しっかりと問題文や資料、図表などを読み取る力、分析力、情報加工力などが必要とされる問題が圧倒的に増えているという現実をしっかりと直視していくことが大切です。

 

数学では、数年前でしたでしょうか、正答率0%(誰も正解しなかった)が出題されたりしています。

 

理科についても、一昨年度、昨年度の入試については、平均点が30~40点になるという非常に難易度の高い問題となっており、分析者の間では、「兵庫の理科はやばい」というような状況だったようです。

 

ただ、理数が難しい反面、英国社は比較的取りやすいと考えられておりましたが、ここ数年、毎年のように出題傾向が改訂され、ただ単純に答えを導き出せるような問題は非常に少なくなっており、決して理数はできなくても英国社で挽回できるというようなことも簡単ではないと思われます。

 

今年の3月の英語の問題では、複線型読解問題と呼ばれ、複数の資料を同時に処理しながら、かつ会話文が問題に組み入れられ、しっかり読みながら、解答しないといけない形式が非常に多くなっています。

 

このことより、パラグラフリーディングやスラッシュリーディングなどを普段からしっかりと行い、安直な解答を選択するテクニック論に走ってはいけないと痛感します。

 

大学入試、特にセンター試験の英語などの「同じ単語が出てくるから、この選択肢が解答」だといったような安易なパターン単純読解では手も足も出なくなりそうです。

 

(センター試験は全般的に良問が揃っていますが、こと英語の長文については、多くの文を短時間で処理するため、同じ単語を探して、それで処理してしまうといった、宝物探し的な読み方になっている傾向が見受けられます。ただ、それで正解できてしまうため、当然テクニック的には、理解できる部分もあるのですが、高校入試、共通テストなどで、こういった複線型読解の問題が増えていく上で、英語の読解の本質をしっかりと普段から学ぶ必要があるでしょう)

 

高校生の土曜補習でも英語精読を推奨する理由や意味はこういったところにあります。

 

そんな、各科目ごとの分析や取組方法を色々とお聞きしたので、それをしっかりと活用させて頂いて、まずは中3生の受験生の進路指導に活かしていくとともに、現高2生以下の共通テスト対策にも通じるこの高校入試の改訂、もっと言えば、定期テストでも初見の問題がいきなり出題されるといった昨今の傾向にしっかりと対応していきたいと更に意識を高くして参りたいと思っております。

 

さてこの数字は何だと思われますか?

 

英語 18.8%→64.7%

数ⅠA   5.45%→47.9%

数ⅡB  0%→24.3%

国語 2.8%→45.7%

世界史B  5.6%→55.6%

日本史B  19.4%→74.2%

 

これは18年度のセンター試験と、17年度の共通テストプレ(共通テストとはこんな感じの問題になりますよと基準を示した問題です)とを比較した、複線型読解問題のパーセンテージです。

 

各科目軒並み激増していますが、特に世界史Bは、10倍以上になっています。単に用語を一問一答で単純暗記だけでは到底対応できない出題傾向になりそうです。

 

数学なども「問題は数式だけ」というイメージがあるかと思いますが、全くそうではなく、会話主体の問題文をしっかりと読んで、その中で計算、立式をしていくという読解力がないと、立式もできない可能性があるということになってしまいます。(是非一度ご覧ください)

 

高2生以下の皆さん、こんな入試が着々と迫ってきています。今から、是非意識を高くして、単純暗記ではなく、理解力、情報加工力を身に着ける学習を一緒に努力していきましょう!