2024年09月07日

子どものやる気を引き出す親のアプローチ


恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。

保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。

出典:

マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行

「子どものやる気を引き出す親のアプローチ」

 

 

☆ 話の前提を共有する! ☆

◇今回は、コミュニケーションの前提について書きたいと思います。

◇アメリカの心理学者が、コミュニケーションに関する実験をしました。
どういう実験かというと、二人一組になって、一方が手で机を叩いて相手に曲名を知らせるという実験です。
実験する前は、かなりの人が曲名は当たるだろうと思っていたそうですが、結果は大外れだったそうです。相手に対してただ手で机を叩くだけでは、曲名は、全く伝わらなかったのです。

 

◇私もこの実験を知って、数年前に子育て講演会で、参加していただいた15名のお母さん、お父さんに同じようなことを行ってみました。
まずシンプルな曲の「さくら」を机を叩いて聞かせてみました。
なんと一名のお父さんが正解でした。その他の14名の方は、全く曲名すら思いつきませんでした。続いて、スマップの「夜空ノムコウ」を叩きましたが、誰もわかりませんでした。誰からも曲名すら出てこなかったのです。

そこで、今のは、スマップの曲ですとヒントを与えてみたら、数名の方が、すかさず答えを言ってくれました。

 

◇この実験で分かったことは、コミュニケーションを理解するためには、理解する前提なり、理解を助ける文脈が大切だということです。
自分だけで思っていることは、子どもには全く分からない可能性があるのです。

 

ですから話をする前に、相手に話の前提を示さなくてはならないのです。
前提や文脈を、親と子どもが共有してこそ、話の理解が図れるのです。
そのことを、この実験は教えているのです。

 

頭の中に音楽が流れているからこそ、手を叩くだけで曲になっていくのです。
もし、そういう音楽が頭の中に流れていなければ、手で机を叩く音と音楽が結びつかないので、曲にならないのです。

 

◇つまり、子どもと話す時は、子どもと前提を共有することです。
子どもが理解する文脈で話をすることです。そうしなければ、スムーズなコミュニケーションは図れないと思った方が良いのです。

『話の前提を共有する!』

 

 

 

☆ 目標の前に、愛情が必要! ☆

 

◇知り合いの塾の先生から、中学3年生の男子生徒のことで相談を受けた時のことです。家庭環境が複雑で、子ども自身が、勉強には全然意欲を示さないので、どうしたものかという相談でした。

 

◇生徒のご両親は、長年別居状態が続いていて、その生徒は、お母さんのところで暮らしているそうです。
お母さんは、不規則な勤務体系の職場で、親子の生活はすれ違いらしいのです。

 

子どもは、家出をしたり、学校をサボったり、塾を休んだりしているということでした。こんな状態ですから、生活に対しても、勉強に対しても目標が持てないのだろうということでした。

 

◇どうやったらこの生徒に目標を持たせることが出来るだろうか、という相談でした。いくら目標を持てと言っても、この生徒は、持ってはくれないということで、その先生も随分と悩んでいました。

 

◇この生徒は、愛情確認の行為を一杯しています。
家出をしたり、学校をサボったり、塾を休んだりと。問題行動は、一種、愛情確認なのです。親が自分に関心を向け、愛情を注いでくれるかどうか、問題行動をして確認しているのです。つまり、親からの愛情が感じられないから、本当に親は自分に愛情があるのだろうかと思って、親が困るであろう問題を起こして、親の反応を見ようとするのです。

 

◇まず、先生が、子どもの辛さに共感すること。理解を示すことが、大切なことだとその先生に伝えました。そして、その次に、子どもの問題行動に、意味を与えることなのです。

 

◇親に対して反抗してしまうのは、「君が親の愛情を欲してるからだよな」と子どもの問題行動の意味をその子に投げかけながら、理解を示し、その上で、その生徒の頑張りを認めることが、大切なことなのです。

 

◇「自分がこういう状態ならば、君のように塾には、来れてないかもしれないから、君は凄く頑張っている!」と伝えながら、その生徒の話を聴いてみなさいとアドバイスをしました。

 

◇子どもが、何かについて目標を持つ時は、自分自身にエネルギーがある時なのです。ですから、目標を持たせようとする前に、まずは、子どもに愛情を示すことで、心にエネルギーを与えることが重要なことなのです。

 

子どもを認めることです。そのことからスタートしない限り、子どもに目標を持たせることは出来ないのです。

 

◇子どもに愛情を示して、心にエネルギーを充満させない限り、つまり、子どものセルフ・エスティームを高めない限り、目標は持てないものなのです。

『子どもに愛情を示す!』