子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」を転載させて頂きます。保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
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☆子どもの小さな変化を発見する☆
私達、保護者は、子どもに成長してほしい、成果を挙げて欲しいと願い、努力を求めます。しかし、努力がそのまま成果に現れれば良いのですが、大抵の場合、明確な成果はすぐには現れないのです。
努力と成果の関係を示すレミニセンスという理論があります。簡単に言うと、すぐに結果はでないという考え方で、これをグラフで示すと、横軸に時間をとり、縦軸に努力や成果をとります。日々、コツコツと努力を続けていると、右上がりの直線(比例のグラフ)になるとすると、成果のグラフも、努力のグラフに順ずる右上がりの直線になるはずです。しかし、多くの場合、最初は、上がり方の鈍い(成長が目立たない)曲線になります。しかし、やがて急激に上昇するようになり、やがて努力の直線と交わり、さらには努力の曲線を超える成果が現れるようになる時期がやってきます。
努力を続けていれば、必ずこのような曲線の過程をたどるはずです。ところが、努力の初期は成果があまり目立たないので、自分の努力を
疑うことが良くあります。「なぜ、こんなに努力しているのに、成果が出ないのだ!?」と・・・。
また、まわりの支援する人も「なぜ結果が出ないのか?努力が足りないのか?」と不安や疑問を持つようになります。数値に現れるような成果を引き出すためには、この不安な時期を、本人はもちろん、まわりの支援する人も、何としても乗り越えることが必要なのです。
この時期を支えるのが、子どもの傍にいる、親であり先生なのです。それならば、と、「この時期を乗り越えなければダメだよ」と伝えても、あまり効果は期待できません。大人にとってよくわかった過去であっても、子どもにとってはイメージしにくいまだ見ぬ未来だからで
す。
子どもは、子どもなりに努力をして、小さな変化は起こしているものです。その小さな変化を発見し、「あなたは努力しているよ。そして、既に成果が出ているよ!」というメッセージを伝え続けるのです。
子どもも、成果を感じることができれば「もう少し頑張ってみよう!」という気持ちが湧いて来るのです。
まずは、「子どもの小さな変化」を発見することです。
☆ 意味を伝えて、子どもの才能を開花させる☆
先日、お子さんが中学1年生のあるお父様から相談を受けました。
「中学1年生なのに、英語の成績が芳しくなく、これでは、英語嫌いになってしまうのではないかと心配している」とのことでした。
このお父様は、心配するだけでなく、ご自分で時間を見つけては、簡単な文法や単語を教えているそうです。しかし、その場では、何とか理解しているようなのですが、翌朝になったら忘れているとのことでした。
お子さんも同伴されていたので、お子さんに聞きました。
「英語の勉強をどう感じているの?」
「できるようになりたいのですが、なかなかやる気になりません」
との回答でした。
大変、ハキハキと応えてくれる様子から、能力的な問題ではないこと
が推測できました。
以下、彼との会話です。
私:「外国の人を普段見かけませんか?」
子:「よく見ます」
私:「その人たちが、日本に来てわからないことを質問するとします。その時、君がきちんと英語で説明できたら、その人は、どう思いますか?」
子:「感謝してくれると思います」
私:「感謝されたら、君はどんな気持ちになりますか?」
子:「嬉しいです」
私:「嬉しいよね。外国の人も、君も嬉しくなれるために、英語を学ぶんだよ。外国の人に、いきなり、君がわかるように『日本語で話せ!』というのは酷だよね。困った時に助けてくれる日本人に接した時に、日本はいいなと感じて、日本語を覚えようとするかもしれない
けれどね。だから、まず、君が英語を理解して手助けをしてほしいんだ。」
子:「はい」
私:「それじゃ、ちょっと、簡単な文を使って、英語と日本語の違いを確認してみよう!」
この後、英語が、主語と動詞で組み立てられていること、その理由。主語によって動詞が変化する英語の特徴。時制によって動詞が変化す
ること。その理由。を、30分ほど説明しました。
私:「今、君ができるようになったのは、英語と日本語の違いを理解できたからなんだよ。英語の特徴がわかれば、君も英語ができるようになるんだ。英語の特徴を理解することが、英語を勉強するということなんだ。これができたら、外国の人に喜んでもらえるし、格好いいと思わないかい?」
子:「思います」
私:「だからこそ、単語や英語の癖を覚える必要があるんだよ」
そばで、聞いていたお父さんが、「なるほど。こんなアプローチがあ
るんですね。私が教えている時と全く表情や態度が違っていました」
とおっしゃって、驚いていらっしゃいました。
英語を出来るようにするために、単語や文法を覚えることは大事なことですが、なぜ英語を勉強しなければならないのかという意味が子どもなりに理解されていなければ、なかなかやる気になれないものです。
「なんで、勉強しなければならないの?」と子どもに聞かれたら、皆さんは何と応えますか?
どんなアプローチをしますか?
私は、30年前に教壇に立ち始めた最初の卒業式でPTA会長が卒業生に送った、
「知恵ある者は、知恵を出せ!知恵なき者は、汗を出せ!知恵も汗も出せないものは、この場を立ち去れ!」
という有名な訓話を思い出します。
私たちは、人の役に立つために、社会に存在していて、知恵が出せたり、汗を出せるようになるために、今、勉強する必要があるのです。それが、できなければ、去る。つまり、社会的に価値がないわけですから・・・
是非、子どもにスッと受け入れられる「意味(目的)」を伝えてみて下さい。必ず、やる気も、成果も変わってきます。